侯爵の屋敷へ3
事情を話して、ルーカス王子達と手分けして本を調べることになった。
本棚は、4つありその本棚には分厚い本から薄い本など色々な種類の本が並んでいる。
私も本を取り読んでみる、やはり闇の術に関するものばかりみたいだ。しかも、普通なら禁書として厳重に保管しなければならないものばかりだ。
「これだけの数を、いったいどこから…」
「エリクシル家は、闇の術を得意とする一族だったって言ってたからじゃないかな」
「どういうことだ?」
「その術を得意としているのなら、その術を誰よりも詳しく知っていないと、術をかけるほうにも代価を求められる場合もあるから、知識はしっかりと持ってないといけないしね」
「なるほどな」
「だから、闇の術に関してはその全てをエリクシル家に任されてたんじゃない?」
「確か、昔はそういうそれぞれで得意な術を持つ家が結構あったらしいな」
「うん」
昔は、闇の他に風、緑と得意な家があったようだけど、力が衰えてしまって今はなくなってしまったらしいけど。
ルーカス王子も、色々と話を聞いているみたいだね。得意な術を持つ家のことも、ルディさんのお父さんに聞いたかな?
そんな話をしつつ本を調べていると、ジミーくんから声をかけられた。
「アオ様、この本開かないんですけど」
ジミーくんが持ってきた本は、なにかしら術がかかっているようだった。
「術がかかっているみたいなんで、外してみますね」
本の上に手をかざして解呪の術をかける。すると、本が光だしパラパラと勝手に捲れていく。
それがあるページで止まり、そこから一際強い光が出てきて人の形を作っていく。
「何だ!」
「アオ、下がれ!」
私は、ルーカス王子に腕を引かれてルーカス王子の背中越しに、その人を見る。
光は女性の形をとり、やがて光は収まった。
「貴女は月の姫ですね」
その女性が話かけてきた。その人は、綺麗な腰まである黒髪に深い蒼色の瞳の、綺麗な人だった。
でも、この色合いの髪と瞳の人に会うのはこっちに来て初めてかな?ヴィスタくんも、黒髪にエメラルドの瞳だけど。
「貴女は?」
私は、ルーカス王子の横に並ぶように前に出ながら聞いた。
「私はルイ、ルイ・エリクシル」
「エリクシル家の?」
ルーカス王子達が息を飲んだのが分かった。
エリクシル家は滅んだはず、なら…。
「自分の意識を、その本に…」
「えぇ…。私には、これぐらいしか出来なくて。お願いです、月の姫様。ロランを止めて」
「ルイさんと、ロランの関係は?」
「ロランは、私の弟です」
「ならば、アイツは何で生きているんだ」
「………闇の精霊と契約を結んだんですね」
「はい…」
「どういうことだ?」
「本来、闇の精霊とは契約をしてはいけない決まりなんです。闇の精霊は、コントロールが難しいし契約した人を、逆に支配してしまうから」
「ならば、なぜ…」
ルディさんが不思議に思うのも無理はない。
普通、そんなリスクの高い契約をしようとする者はいないから。でも、闇の術をよく知るエリクシル家なら…。
「自分の、魂を喰わせたんですね」
私の言葉に、ルイさんは静かに頷いた。
更新が止まってしまってすみませんでした。
また、よろしくお願いします。