侯爵の屋敷へ2
「久しぶりに馬に乗るなぁ」
「スクリプト王国にいた頃は乗ってたのか?」
「そりゃ毎日のように。元気にしてるかな~ルビー」
「ルビー?馬の名前か?」
「そうだよ、赤毛の美人さんなの」
スクリプト王国に置いてきたからなぁ、一緒にこっちに連れてきてもよかったけど、大変そうだったから置いてきたんだよね。
「そんなことはいいんです。さ、出発しましょ」
「あぁ。ルディ、行けるか?」
「はい、大丈夫です」
「よし、行こう」
私、ルーカス王子、ルディさん、ジミーくん、リオンさんはマーリン侯爵邸へ向け出発した。
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私達がマーリン侯爵邸に着くと、屋敷の周りには騎士団の人達が立っていた。
屋敷自体は、他の貴族達と変わらないぐらい大きさの屋敷だった。庭は、よく手入れされていて色々な花が咲いていた。
ルーカス王子達は、門の警備をしていた騎士に一言声をかけてから中に進んだ。
屋敷の中も、綺麗だった。
「まだ全然綺麗だね」
「屋敷にいた侍女などは、騎士団で話を聞いている最中だ。マーリン侯爵が見つかった地下に行くか」
マーリン侯爵が見つかった地下は、マーリン侯爵の自室の本棚の裏から行けるようになっていた。それなら、マーリン侯爵が案内しない限りは分からないよね。
地下へ着くと、ヤスの香りがまだほんのりと残っていた。
「ここがヤスの香りの最初の発生地点だね、それから他のところにもいくように術をかけたんだと思う」
「ヤスの葉は、遺体の保存にも効果があるんだったな」
「そうなんだよね…。とりあえず、ここを調べてみる」
「手分けした方がよさそうだな」
私達は手分けして、地下室を調べることにした。
「得に怪しいのはない、か…」
私は地下室にある本棚を調べた。
そこには、闇の術を関する本ばかりが並んでいた。マーリン侯爵自身が集めたのか…。ロランのものか…。
「マーリン侯爵の、かな?」
本棚を見ていると、視界の端で何かが走ったのが分かった。それを確認するために本棚の隅をじっと見ていると、そこには精霊がいた。
「あなた、ずっとここにいたの?」
「!!おれが見えるのか!」
「うん、それでずっといたの?」
「おれずっとここに住んでんだけど、最近ここの主がおかしな本ばっかり集めてるな、と思ってたらこの前…。ここで…」
「分かってる。私はそれを調べに来たの」
「そうなのか…」
そういえば、精霊にはヤスの香りは効かないんだ。ヤスの香りは、人間にしか効かないもの。
「犯人が何をしようとしてたか、分かる?」
「犯人は、ここの嬢さんと一緒にまたどっか行ったんだけど、本棚にある本を見ながら色々計画してたから、そこに何かあるんじゃないか?」
「そっか、ありがとう」
「ここの嬢さん、何か最近性格が変わったみたいになってたって聞いたな」
ミリア様は、私にルーカス王子が取られたと思ったんだな…。性格が変わるほど、ルーカス王子のことが好きだったってことだよね。
「とりあえず、本を調べてみる。ありがとう」
「おぅ!」
精霊を見つける前に見てたけど、これだけ闇の術に関する本ばかりなのは凄いな。
闇の術は、素質がない限りは訓練しようとはしないはず。闇の術は、繊細な力のコントロールがいるし、逆に闇の力に呑まれたりするからね。
ルーカス王子達にも知らせて、手伝ってもらおう。
すみません、明日、明後日は仕事の都合で更新できません。
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