侯爵の屋敷へ
それからしばらく寝た後、起こしに来てくれたリーンさんに、遅い朝食の準備をしてもらって食べていた時、お父さんから連絡がきた。
「あ、朝ご飯中だったね」
「ううん、こっちこそ食べながらでごめんね」
「いや、大丈夫だよ。アオの体も大事だからね、しっかり食べないと」
「ありがとう」
「で、ヤスの取引だけどその遺体で見つかったマーリン侯爵が最近、やってたみたいだよ」
やっぱり…。ロランが取引で、手に入れられる物じゃないはずだもんね。昨日、祈りを始める前にお父さんに頼んでおいたんだよね。
それを逆に、マーリン侯爵自身に使われちゃったんだな。
「ヤスの効能に、遺体の保存力を高めるものがあるようだけど、それを知って使ったのかもね」
「そんな効能あったんだ!知らなかった」
「何らかの意図があるにせよ、本当に計画的なものだったんだね」
今までの出来事全て、ロランの計画通りなんだと思うと腹が立ってくるけど、それぐらいよく考えられてる計画なんだよね。
「ミリア様とマーリン侯爵は、巻き込まれた被害者だよね…」
「そうだね…。しっかり解決してあげないとね」
「うん、頑張る」
「体には気を付けて」
「ありがとう、またね」
お父さんは、笑顔で連絡を切った。
「うーん、取引してたのはマーリン侯爵だったか…。弱味につけ込まれたかな?」
「マーリン侯爵にも弱味が?」
リーンさんが、紅茶を淹れながら聞いてきた。
「弱味っていうか、野心?たぶん、娘であるミリア様がルーカス王子に見初められたことで、欲が出てしまったんじゃないですかね?」
「欲、ですか」
「侯爵だから、そこそこいい地位にいると思うんですけどね。その野心を狙ったんでしょうね」
「なるほど…」
王子に見初められたミリア様を狙って、その父親であるマーリン侯爵も巻き込まれた形になったんだな。
コンコン
「どちら様でしょう?」
「ルディです。失礼してもよろしいでしょうか?」
リーンさんが私を振り返り、目でどうするか聞いてくる。私は、フルーツを食べながら頷く。
「どうぞ」
リーンさんが、ドアを開けてルディさんを部屋に通す。ルディさんは、私が食事中だということに気づいた。
「食事中にすみません」
「いえいえ、私が遅かっただけなので。何かありましたか?」
「ヴィスタが、目を覚ましたので知らせに来たんです。今、ルーカス王子が話を聞いています」
「分かりました、私も仕度を済ませたら行きます」
「騎士団の医務室にいますので、お越しの際は騎士団の詰め所に言って頂けたら」
「分かりました」
「それでは」
ルディさんが出て行ったあと、ご飯を食べ終わり仕度を済ませて騎士団の詰め所に向かった。
ーーーーーーーーーーーーー
詰め所に言うと、すぐに通してくれて医務室まで着いた。
ノックをすると、ルディさんがドアを開けてくれて私とリーンさんは中へ入った。
「おはよう」
「おはよう、やっと目が覚めたんだね」
「はい」
「今、話を聞いていたんだが自分でも気づかない内に、外にいたり来たはずがないところにいたりと、前からおかしいことはあったらしい」
「そう…。それってどれくらい前から?」
「たぶん、ミリア様が城に住み出したあたり…か」
「ミリア様に取り入る隙を狙ってたんだね…」
「ミリアが最初から狙われていたと?」
「ルーカス王子がミリア様を見初めたのは偶然だよ?でも、それからのことはロランの計画通りに進んでるんじゃないかな?」
「そうか?じゃあ、マーリン侯爵は?」
「その過程で巻き込まれた、て考えるのが普通」
「だな…」
ルーカス王子も私の考えに納得してくれたみたいだ。
と、ルーカス王子と色々話していると、視線を感じてそちらに向くと、ルディさんが少し驚いたようにこっちを見ていた。
すると、ヴィスタくんが疑問をぶつけてきた。
「アオ様って、ルーカス王子に敬語じゃなかったか?」
そうだよね、疑問に思うよね。
「一応、婚約してるし普通だろ?」
ルーカス王子が、さも当然だろ?的な感じで言うと、そうか…。といった感じで納得していて、ルディさんも何か考えているようだった。
「俺は今からマーリン侯爵の屋敷に行くが、来るか?」
「行く!少しでも情報欲しいし」
「馬には乗れたか?」
「大丈夫」
「ルディ、馬の準備を」
「分かりました」
それから、私は動きやすいような服に着替えてルーカス王子達と、出発した。
恋愛の要素も、多くしていきたいです。
なるべく…。