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二人きりの夕食

 それから少し、ルーカス王子の書類を片付けるのを手伝っていると、ルディさんと侍女さん達が食事を運んできた。


「ルディ、今日はもういいぞ。帰りは俺が送る」

「しかし…」


 ルディさんが何か言おうとしたのを、ルーカス王子が視線でルディさんを制した。ルディさんは、渋々部屋から出て行っていた。


「よかったんですか?今は結構危ない時期ですよね」

「どうせ、影から護衛させてるはずだ。さ、食べよう」


 なるほど、そりゃそうだよね。じゃなきゃルディさんも、何も言わずにルーカス王子から離れないはずだよね。


「一度、ゆっくり話をしたかったんだ」

「あぁ、そういえば二人でっていうのはなかったですよね」

「色々、ゴタゴタしてたからな。」

「最初のルーカス王子の態度は酷かったですよ?」

「おまっ!突然その話からなのか?というか、最近思うが敬語とかいらないぞ?立場は同じだろ?」


 うーん…。確かにそうだけど、一応依頼者の息子さんだからなぁ。


「言っておくが、依頼者の息子とかは関係ないぞ」

「っ!何で分かるんですか?」

「アオは分かりやすいな、たぶん長く一緒に行動してると分かるようになるな」

「最近、ルディさんにも思考を読まれてる気がするんですよね…」

「気がするじゃなくて、確実に読まれてるぞ。ルディはそういうの得意だからな」


 やっぱり、得意なんだ…。今度から気を付けるようにしよう。

 心の中で、小さな決意を抱いていると私が食べていたサラダに、お肉が置かれた。


「あった頃から細いと思ってたが、最近また細くなってないか?食事はちゃんと食べろ。倒れたら意味ないぞ」

「…そんなに痩せましたかね?」

「最近、体重量ったのか?」

「……量ってないです。明日量ってみます」

「敬語」

「~っ!明日量る!これでいいでしょ」

「あぁ」


 私が勢いに任せて言うと、ルーカス王子は笑って頷いた。


「あー、明日ルーカス王子と敬語なしで喋ってたら、絶対にナタリーに何か言われる」

「大丈夫だろ、一応俺達は婚約してるんだしな」

「まぁ、そうだけどね…。っ!これ、美味しい」

「だろ?他の肉より柔らかいから食べやすいしな。脂身とかも、ちょうどいいぐらいだし」


 ルーカス王子の言葉に、私は全力で頷いた。

 余程、すごい顔をしていたのかルーカス王子はお腹を抱えて笑っていた。


「もう!笑いすぎ」

「アオが、術を使ってる時とか捜査してる時とかとあまりにも違い過ぎて、笑えてきてな」

「別にいいじゃない、食事の時ぐらい色々忘れて楽しみたいでしょ?」

「確かに、そうだな。色々と面倒なことばかりだからな」


 そう言って食事をしながらも、まだ時々笑っているルーカス王子。何度言っても、止まらないからもう諦めた。

 それから、色々と話をして食後のお茶をゆっくりと飲んでいた時。


「婚約の件だが…。俺は、本当にしてもいいと思ってる」

「え?」


 ルーカス王子は、顔を少し赤くしてお茶を一口飲んでいた。


「それは、私と将来本当に結婚をしたいと考えて言ってるの?」

「もちろん。これまで、一緒に過ごして行動してお前の人となりを見て、アオとならこの先何があっても支えあっていける気がするんだ」

「……」

「最初の俺の態度は酷かった、と自分でも思ってるし最低だと思う。だが、少し考えほしい」


 ルーカス王子は、真剣な顔で本気なんだというのが伝わってくる。


「……分かった、考えてみる」

「あぁ…」


 それから私とルーカス王子は、塔まで送ってもらうまでギクシャクした感じで、分かれた。


 ルーカス王子を見送りながら、あれを言うために二人で食事をするって言ったんだ。ちゃんと考えないとな…。





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