さらに事件発生!5
「すまないな、急に呼び出して」
「いえ、何かありましたか?」
「マーリン侯爵が…遺体で見つかった…」
「!!」
ルディさんの表情が、少し固い気がしたけどこのことを知ってたからなんだ。
「俺がマーリン侯爵の屋敷を捜索させてたのは、聞いたか?」
「はい、おばあちゃんから…」
「その捜索で、屋敷の地下室から見つかった。死後三日は経っているそうだ」
「三日…」
「今、死因を調べてもらっている」
マーリン侯爵は、口止めで?
でも、三日も姿を眩ませたら誰かしら疑問に思うんじゃないの?屋敷には、侍女さんとかいるだろうし…。
「騎士団が屋敷に着いたとき、屋敷にいた者達全員眠っていたらしい」
「眠っていた?すぐに目を覚ましたんですか?」
「あぁ、騎士団の奴らが声をかけたり、肩を揺すったりしたらすぐに目を覚ましたらしい」
何かしらの術みたいだけど…。これもロランの仕業だよね。色々起こしてくれるなー。
「これもロランか?」
「たぶん、他に聞いたことはありますか?」
「騎士団が突入した時は甘い香りがしてたらしいが、屋敷の者達が目を覚ました時にはなくなっていたとか」
「甘い香り…」
もしかして術じゃなくて、薬草か何かかな?
甘い香り…。
「もしかしたら、睡眠薬として使われるヤスっていう薬草かもしれません」
「術ではないと?」
「術はたぶん、騎士団の人達が屋敷に突入するまで、屋敷にヤスの効果が切れないようにしてただけだと思います。じゃないと、すぐには目は覚めませんから」
「確かに、それならすぐに目を覚ましたことに説明がつくな」
ロランは、私達が内通者だったヴィスタくんを見付けるのも、マーリン侯爵を捜索させるのも想定してたのかも…。
ん~…。厄介な感じだな。
私がルーカス王子に目を向けると、同じように何か考え込んでいるようだった。
「お二人とも、今日はこの辺にして夕食にいたしましょう」
「ふ~…。今日は色々ありすぎて時間が早く過ぎたな」
「確かに、もうこんな時間だったんですね」
そう言って窓の外を見ると、日がもうすぐ沈むところで、夕日のオレンジと夜の闇の中間のような感じだ。
「夕食はここに運んでくれ、俺とアオの分を」
「え、私は離宮に帰りますから大丈夫ですよ。今日は一日色々ありましたから、ルーカス王子もゆっくり食事をしてください!」
「それならアオもだろうが、いいからここで食べていけ。ルディ、頼んだ」
「かしこまりました、では」
ルディさんが部屋から出て行くと、ルーカス王子は伸びをして机に散らばっていた書類を片付け始めた。
「本当にいいんですか?」
「いいって言ってるだろ。今から離宮に帰って夕食を食べるってなったら、少ししか食べないんだろ?」
うっ!その通りだ、夜は力を溜めるために塔に行くからね。
近頃は、ルーカス王子もなんだかんだ過保護なんだよね。ルディさんほどじゃないけど…。
「分かりました、お言葉に甘えます」
「それでよし!」