さらに事件発生!4
この騒動の報告をルーカス王子達は、国王様にするため城へと戻っていった。
私とナタリーがおばあちゃんのところに行くと、ちょうどティータイムだったのか部屋に入ると、紅茶のいい匂いがしていた。
「あら、二人そろって戻って来たわね」
「おばあちゃん、私達が聞きたいこと分かってるんじゃないですか?」
「えぇ、とりあえず二人とも座りなさい。紅茶を淹れさせるわ」
私達が席に着くと、すぐに紅茶を淹れてくれた。
紅茶を飲んで、一息つくとおばあちゃんが話し始めた。
「二人が聞きたいことは、古の術のことね」
「はい、確か若い女性を生け贄に死んだ者を蘇らせる術…。そうなると、ミリア様が生け贄にされます」
「その生き残りは、確かにエリクシル家を復活させると言ったのね」
「はい…」
「ならば、確実にその術だわ」
やっぱり、そうだよね。でも、どうしてミリア様だったんだろう?
「ミリア様が選ばれたのは、闇が深かったからでしょう」
「闇、ですか?」
「人にはどんなに善人でも、闇の部分は多かれ少なかれ抱くもの…。ミリア様は、ルーカス王子と結婚の約束までしていた。しかし、アオが出てきて教会の下見を二人で仲良くしていた、その時点で接触していたのかは分からないが、その前後で接触はあったんでしょう」
「でも、ミリア様に直接接触するものですか?」
「誰かが取り持ったと、アオは考えているのですね」
「はい」
「その可能性は確かにあるでしょう」
その場合、取り持った人間はミリア様にとても近い存在だと思うけど、そうなるとミリア様の父親であるマーリン侯爵が第一候補だと考える。
ミリア様は、ルーカス王子とずっと一緒にいたから同年代の友人がいるか分からない。城にいた頃は、実家と城の部屋にしか行ってなかったみたいだから、他に接点があるとも考えられない。
コンコン
「どうぞ」
「失礼致します」
部屋に入ってきたのは、城からの遣いだった。
おばあちゃんの耳元で少し話したあと、静かに部屋を出ていった。
「アオが考えていた通りになったみたいです。マーリン侯爵が、姿を消しました」
「え、まさか本当に」
「今、ルーカス王子の指示でマーリン侯爵の屋敷を捜索させているみたいよ」
「そうですか…」
マーリン侯爵が、ロランと接触していて娘であるミリア様を生け贄にしたの?
「アオ、マーリン侯爵ってミリア様の父親でしょ?そんなことをするような人なの?」
「どうだろ、私も会ったのは一度だけだし…。あの毒…」
王妃様の誕生パーティーの時の毒を用意したのは、ロラン?
「その事件なら、私も聞きました。毒を用意したのは、ロランで間違いないでしょう。マーリン侯爵に、毒を用意する伝があるとは思えませんからね」
「計画的なものだったんですね」
「そうでしょうね」
かなり用意周到にやったんだ。
コンコン
「今日は来客が多いわね、どうぞ」
「お話中すみません、失礼します」
部屋に来たのは、ルディさんだった。
「アオ様、ルーカス王子がお呼びです」
「私ですか?」
「いってらっしゃい、アオ。それから、私は協力を惜しまないと伝えて」
「分かりました」
マーリン侯爵が、いなくなったことの話しかな?
私は、ルディさんとルーカス王子が待つ執務室に向かった。