さらに事件発生!3
私達が訓練場に着くと、ルディさんの言っていた通り目的の人物は、他の騎士に混じって訓練をしていた。
ルディさんは、指導していた騎士に話しかけその人物を私達のところまで連れてきた。
「訓練中にすまないな」
「いえ」
「少し聞きたいことがあってな…。ヴィスタ、お前さっきまでどこにいた?」
そう、私達が内通者だと思ったのは黒髪でエメラルドのような瞳を持つヴィスタくんだった。
ヴィスタくんは、精霊に愛されし者だから普通なら、精霊達に祝福を与えてもらう側…。なぜそんなことをしたのか、聞きに来たのだ。
「え?ずっとここにいましたけど?」
「本当か?」
「なんなんですか?突然来て、カイル達に聞いたらいいじゃないですか」
「本当か、カイル」
「え、ヴィスタ今日は朝からどっか行ってたよね?朝ご飯の前にフード被ってどっか行ってたよ?覚えてないの?」
「は?俺、外に行ってたのか?」
カイルくんが言ったことに、ヴィスタくんは本当に驚いているようだった。
まさか…。
その様子を見て、ある可能性が思い浮かんだ時、ナタリーの方を見るとナタリーもその可能性が浮かんだようで、頷いて見せた。
「ちょっと試したいことが出来たので、ヴィスタくんから離れて下さい」
「試したいこと?」
「はい、ヴィスタくんはそこにそのまま立っててね」
「はい…」
ルーカス王子達や、カイルくんが距離をとったのを確認して、ナタリーと一緒に術を唱え始める。
「「善なる者の中に住まう悪よ、姿を見せよ!」」
「っう、うわーー!」
ヴィスタくんが叫び、心臓のところを押さえながら膝をついた。
ヴィスタくんの体からは、紫が混じったような黒いモヤが出てきていた。
そのモヤがだんだん少なくなっていって、全て出た瞬間ヴィスタくんは意識を失ったようで、そのまま地面に倒れた。
「ヴィスタ!」
カイルくんが駆け寄って行くのを見て、ナタリーが二人のところに結界を張っていた。
“あそこには、思ったより精霊が多くいたようだ”
「ミリア様をどこにやったの!」
“あの女には、もう少し我らの手伝いをしてもらうため、丁重におもてなしをしているよ”
ミリア様は、酷い扱いはされてないみたいだけど…。あいつを倒さないことにはどうにも出来ないか。
「ヴィスタくんを使ったのは、操りやすかったからね」
“当たりだ。精霊に愛されし者は、術に掛かりやすい…。だが、そこの者はなかなかに手強かったなぁ…。よく訓練をしていたようだ”
精霊に愛されし者達は、総じて術に掛かりやすいという弱点がある。しかし、術に掛からないようにするための訓練もまた受けることになっている。
ヴィスタくんは、そうとう訓練を頑張ったみたいだね。
“我らの復活も近い、ではな太陽と月の姫よ”
嵐のような風がおきて、私達が目を開けていられず閉じて、次に目を開けた時にはもうその黒いモヤはなくなっていた。
「とりあえず、ヴィスタが起きたら話を聞くか」
「そうですね」
ミリア様に、まだ何かさせるつもりなのかな…。そうなると色々と面倒なことになるなぁ。
復活か…。おばあちゃんに話を聞きに行こうかな。
「アオ、おばあ様に話を聞きに行かない?」
「ちょうど私も行こうと思ってた、もしかしたらあれかもしれないからね」
「あれだったら、術が始まる前にミリア様を見つけないと、危ないよ」
「だね、さっそく行こう」
「俺達にも分かるように話せ」
「全くだよ、二人だけで完結しちゃって僕達は何も分かんない」
「すみません、移動しながら説明しますね」
私達は、おばあちゃんに話を聞くため一度離宮へ戻った。




