私とナタリーのこと2
「スクリプト王国だと月の姫について、凄く勉強するって言ってたけど、実際の太陽の姫と月の姫の仕事の分担とかどうなってるの?」
ジミーくんから質問され、私とナタリーは顔を見合わせて考えた。
「分担っていうか、だいたいアオはスクリプト王国にいる時間は短かったよね?」
「そうだね…。だいたいどこか、別の国の依頼を受けてたり、高校生までは異世界にもいたしね」
「高校生?」
あ、ルーカス王子達にはそこから説明しないといけないんだった。
こっちの修学率は、高くなってきてはいるけどまだまだ低いからな…。
「異世界で、学校に行ってた人のことです。私がいたところは、小学校、中学校までは義務教育っていって、必ず勉強させないといけなかったんですよ」
「富裕層とかではなく、ですか?」
「はい。全ての人の義務でしたね」
「じゃあ、アオが言っていた高校生は?」
「高校には、希望者だけが試験をして入学してました。高校からは義務ではなかったので、でもほとんどの人は高校にも行きますよ」
ルーカス王子達は、富裕層の人だけでなく全ての人が勉強出来ると聞いて、驚いているようだ。
この世界の学校は、ルディさん達やカイルくん達が通っていた騎士学校と、裕福な家の人達が通う学校しかなかった。スクリプト王国では、お母さんが色々と提案して、いくつか富裕層以外も行ける学校を創ってたけど…。
ちなみに女の子達は、だいたい婚約者が小さな頃から決まってることが多いから、学校を出るとすぐに結婚する人も多い。
「色々と恵まれていたのだな、その世界は」
「そうですね…。でも、過去には戦争をしていて大きな被害を受けたこともあったんですよ。それに、私がいた国以外ではまだ戦争が続いているところもありましたし」
「そうか…」
こっちの世界も凄いもんね、暗殺とか。何回か護衛の依頼受けたけど、それにしたって多いよね…。何回毒を飲んだか…。
「じゃあ、月の姫は他国の依頼受けてあちこち飛び回ってたんだ。太陽の姫は、基本的に何をしてるの?」
「ん~、教会にある孤児院を訪問したり、お城の催しに来て頂いた方の相手だったり、普通の令嬢と変わらないですよ」
「それ以外にもあるでしょ、ナタリー」
「ん?」
「治癒の薬の原料になる植物の管理、ナタリーの仕事でしょ?私には出来ないんだから」
太陽の姫は、基本的にこの世界にある植物は全て育てることができる。
気候や土とかの性質があってなくて、育ちにくい物でもナタリーは、それを上手く調節して育てることができるのだ。
「それは凄いな…」
「スクリプト王国の治癒の薬は、結構有名でどんなに酷い傷でもたちまち治ってしまうとか」
「いや、それは言いすぎですよ!」
「でも、効果は本当に凄いよ。私も何回か使ったことがありますけど」
護衛の依頼を受けるとき、必ずナタリーの作った治癒の薬を持っていくようにしている。
町に獣が入ったとか、盗賊退治とかで町の人に被害が出た時なんかは、特にありがたい。
「なんか、アオ様やナタリーヌ姫が他の国の姫様とか、貴族の令嬢達よりしっかりしてるのがなんでなのか、分かった気がする」
「二人とも、それぞれが国を思い民を思って行動してるから、しっかりしてるように感じるんだ」
ルーカス王子達が納得している中、私とナタリーは顔を見合わせて笑った。
「なんで二人とも笑ってるんですか?」
「いや、私達のことをしっかり理解してもらえて高く評価されて、嬉しいなと思って。ね、ナタリー」
「そうだね、アオ」
その後も笑っている私達を、ルーカス王子達は不思議そうに見ていた。