調査5
「内通者?どういうことだ」
「さっき、彼は国王様のパレードの時に復活するって言ってましたよね?国王様のパレードの日時はまだ、ルーカス王子や私、ルディさん達しか知らないはず。だとすれば、城の中に内通者がいるはずです」
「なるほど、そう考えるのが当然か…」
ルーカス王子達も納得してくれたみたいで良かった。
それにしても、内通者は誰だろ?パレードまであと一週間ぐらいなのを知ってるのは、騎士団の人達は警備に関わる人なら知ってるだろうしな。
「騎士団、が一番怪しいですね…」
ルディさんが深刻そうに、言った。
仲間を疑いたくはないよね、今まで一緒に頑張ってきた人達だもんね。
とりあえず、騎士団に一度行ってみてもいいかもな…。
「明日、騎士団のところに行ってもいいですか?」
「そう言うと思った、明日は別に何もないから行ってもいいな」
「じゃ、行きますね」
「さて、今日はもう帰りましょうか。結構、時間も経ってるみたいですしね」
「それじゃ、出るか」
ルーカス王子の一言で、皆が部屋から出て行く。
私も…。と思い、私が歩き出そうとすると少しフラついた。それに一番最初に気づいたのは、ルーカス王子だった。
「大丈夫か?腕に掴まってろ」
「ありがとうございます、ルーカス王子」
ありがたくルーカス王子の腕に掴まらせてもらい、ゆっくり歩き出す。
ルーカス王子は、私の歩幅に合わせてくれているのか、とても歩きやすかった。
外に出ると、やっぱり人で溢れかえっていた。
「ルーカス王子が、姫様を支えるようにして歩いて出てきたわ!」
「素敵ね~」
「本当に絵になるわ~」
お?いい感じに出来てるみたいだな。
「いい感じに印象付けができたみたいだな」
ルーカス王子がコソっと言ってきた。
ルーカス王子も同じこと思ってたんだ。じゃ、今回の作戦は成功か。
私がそう思っていると、ルーカス王子を呼ぶ声が聞こえた。
「ミリア?」
ルーカス王子の視線を辿っていくと、そこには久しぶりにみる、ミリア様の姿があった。
「どうして…。ルーカス王子、私と結婚するんでしょ?」
ミリア様の様子が、少しおかしい…。
「ミリア、お前は自宅でおとなしくしていろと言っていたはずだが?」
「どうしてです?それに、最近は城の前の門まで行っても会って下さらない…」
「それは、執務が忙しいと手紙にも書いたはずだ」
お城の前まで来てたの?全然知らなかった。
「こんなところでどうしたんだ?護衛は?」
「ルーカス王子が用意した護衛なら、今日はまだ夢の中よ…。ルーカス王子、私の話を聞いてくれる?」
「それは出来ない。こちらも忙しいんだ」
ルーカス王子、ミリア様に対して冷たくない?前は、少しも放れたくない!って感じだったのに。
「そこの女と結婚する準備?そう、なら仕方ないわね…」
言うとミリア様は、服のポケットからナイフを取り出した。
「ミリア!?」
「ルーカス王子が悪いのよ…。私を見てくれないなら、死んで!」
ミリア様が、ルーカス王子に向かって走り出した。
うそでしょ!
私は、ルーカス王子の腕を掴んでいた手に力を入れて、ルーカス王子を引き寄せる。
カランッ
「はい、か弱い女性に刃物は似合いませんよ?」
ルディさんは、私達とミリア様の間にいて、ジミーくんはミリア様の腕を捻って、ナイフを落としていてそれをリオンさんが回収していた。
「ミリアを城の牢へ、父親である侯爵にも連絡を」
「分かりました。お二人は馬車へどうぞ」
「あぁ」
掴まってもなお、ミリア様は私を睨んでいた。
そんな騒動はあったが、なんとか私達は城へと戻った。