調査4
「“死者の魂の声を聴かせて”」
私が言うと、床一面に広がっている骨が光始める。すると、だんだん賑やかな声が聞こえだす。
“選ばれるのは、絶対に俺だぞ”
“何言ってるの?私に決まってるでしょ”
“お前らみたいな、精霊士のひよっこどもが何を言ってる”
ここに集められているのは、全員精霊士なのか…。
“精霊士”
今ではあまりいないが、一時期はすごく多かったらしい。精霊の声を聞いたり、契約をして生活を助けてもらったりしていたらしい。
でも、精霊が強い力を持っていることを理解していた当時の、各国の王達は競うようにして精霊士達を欲しがったとか。
確か、ある時から精霊士達の数がものすごく減ったんだよね…。だから、今はあまりいないんだけど。
「これだけの精霊士が、なぜここに?」
ルーカス王子も不思議そうだね。
「とりあえず、もう少し見てみましょ」
しばらく見ていると、綺麗な身なりの細身の人が部屋に入ってきた。フードを被っていて、どんな顔なのか分からない。
“精霊士の皆様、よく集まって下さいました。私はロラン…。エリクシル家の生き残りです”
「エリクシル家!?」
「生き残り…」
“皆様に集まって頂いたのは、力を貸して頂きたいからです”
“そんな前置きはいらん、さっさと用件を言え”
一人の精霊士が言うと、他の精霊士達も叫び始めた。
“分かりました。それでは、皆様には我々エリクシル家の糧となって頂きます!”
すると、男が言い終わった瞬間床から黒いモヤが出てきた。
“なんだこれは!”
“体に巻き付いてくる!”
“だんだん力が抜けて…”
黒いモヤは、巻き付いた人の力を吸収しているのか、巻き付かれた人はみるみる内に痩せ細り、肉や皮が無くなりやがて骨になっていく。
“キャー!”
“くそっ!なんで扉が開かない!”
そこから部屋の中は、地獄絵図のようだった。
逃げ惑う精霊士、黒いモヤに巻き付かれ助けを請う者、どうにかして扉を開けようとする者。
しかし、助かった者は誰一人いなかった。部屋に残ったのはただ一人、エリクシル家の生き残りのロランだけだ。
“見ているのだろう、月の姫”
「!!」
こっちが見えてるの?
“我々は、近々行われる国王のパレードで復活を果たす。その時、この世界は闇に染まる”
「闇に染まる…。この世界から人間を消すつもり?」
“さすが、月の姫だな。そうそれこそ、我々エリクシル家の理想の世界だ”
「闇に染まれば、あなた達も生きられなくなるはず」
“そうはならん、我々にはあの宝石があるからな”
ここで、あの宝石が出るか…。
やっぱり、あの宝石は重要なものだったんだ。
“さぁ、月の姫。君がどうするのか、見物だな”
そう言って、姿を消し部屋も元通りに戻った。
「あれは、どういうことだ?」
「たぶん、精霊士達の力を吸収して復活するための術を発動する為の力を集めたんです。もうほとんどの準備が出来てるんだと思います」
「なんだと!」
「とりあえずは、国王様のパレードまでに私達も準備を終えないと。それともうひとつ…」
「まだ、何か?」
「内通者を見つけます!」