調査
教会を調べるのを忘れていた…。すみません。
その次の日、ずっと行けてなかった教会へ行くことになった。
昨日の夕食の時、ルーカス王子から言ってきたのだ。
“明日、例の教会へ行こう”
“色々あって忘れてましたね。行きましょう、何か話が聞けるかもしれませんし”
“あぁ…。そういえば、あの檻に入れられていた妖精達はどうなった?”
“傷は全員治しましたよ。でも、なぜか目を覚まさないんですよ。契約者と離れてるからかな?”
“ま、それについても何か分かるかもしれない。とりあえず、明日に持ち越しだな”
“はい”
“じゃ、明日迎えに来る”
ていうやり取りがあったんだよね。妖精達は、もうとっくに目を覚ましてもいいはずなのに…。
「はい!終わりましたよ、アオ様」
「あ、ありがとうございます、リーンさん」
考え事をしている内に、私の髪の毛を纏め終わったみたいだ。
「考え事ですか?」
「うーん、あの妖精達が目覚めない理由を」
「確かに、心配ですね。もう皆、綺麗に傷も治っていつ目覚めてもおかしくない状態ですのに…」
「本当に…」
「さ!考え事も多いですが、もうルーカス王子がいらっしゃる時間です」
「もうそんな時間だったんですね。それじゃ、行きましょうか」
「はい」
私とリーンさんは、ルーカス王子達が待っているであろう玄関ホールへ向かう。
すると、やっぱりルーカス王子達が準備万端の状態で待っていた。
「おはようございます、ルーカス王子」
「おはよう、アオ」
「馬車の準備が出来ました」
今回は、お忍びじゃなくて公式に町に出るため、馬車での移動になっている。それに、警備も厳重にされている。
私はドレスだし、ルーカス王子も正式な場で着る白を基調とした服だ。こうしてみると、やっぱりルーカス王子は、王子様なんだなぁと思うよね。
「?行かないのか」
「あ!すみません、行きます」
すると、ルーカス王子が手を差し出してくる。
そっか、昨日そうするって言ってたね。
今回、町に出るにあたり私とルーカス王子は正式に婚約することになっている。と、国民に知られるため親密な関係であることを、表現する必要が出てきた。
婚約者という範囲を越えないように、国民にはとても親密に見えるようにする、という結構大変なことを私とルーカス王子はしなければいけないわけだ…。
とりあえず、馬車の乗り降りの時に手を差し出すのは、まぁ当然として…。歩いている時は、手を繋ごうかということを提案したら、子供っぽすぎると反対され、結局腕を組んでたまにこそこそ話をしようということになった。
手を繋ぐの結構、ドキドキすると思うんだけどなぁ~。
そんな過去のことを思い出しながら、ルーカス王子の手を借りて馬車に乗った。
「考え事ばかりして、転んだりするなよ?」
「そんなことにはなりませんよ!」
「その時は、俺が支えるがな」
「だから、そんなことにはなりません!」
私が怒って窓の外に、顔を背けるとルーカス王子は、そんな私を見てクスクス笑っていた。
そんな感じで、教会までは和やかな空気で進んでいった。