心強い味方2
「うわー!綺麗な塔だね、アオ」
「本当に…。向こうの塔とは違う感じだね」
私とナタリー、ルディさんたちは離宮の東にある塔に来ていた。
というのも、私が力を溜めているのならナタリーも力を溜めないと、バランスが悪く私とナタリーが一緒に出す術が失敗する可能性があるからだ。
今、私達の目の前には西の塔と柄の違う塔が建っていた。こっちは、白地に金粉を散らしたような感じの柄だ。
「それじゃ、私達は中も見てきますね」
「少し試してから、戻ってきますね。行こう、アオ」
そう言って、ルディさん達の返事も聞かず私の手をとって塔の中に入った。
中は、西の塔と同じだった。
「よし、ちょっとやってみるね」
「それじゃ、私は端の方から見てるね」
「うん」
私が部屋の端に避けると、ナタリーは集中し始めた。すると、私の時と同じようにあたりに光の玉が浮かび始めた。
やっぱり今、昼間で力が溜まるの早いな。これは、ナタリーは昼間に私は夜にやった方がいいね。
そんな事を考えて、ナタリーを見ているとだんだん様子がおかしくなっていった。
「ナタリー?」
「っ!はぁはぁ」
「どうしたの!?まさか…」
「はぁ、はぁ…。うん…」
「とりあえず、部屋に戻ろう」
私は、まだ震えが止まらないナタリーを支えながら塔の外に出た。
すると、外で待っていたルディさん達がナタリーの異変に気づき、駆け寄ってきた。
「何があったんですか?」
「説明はあとに、まずはナタリーを落ち着かせます。ジミーくんは、可能であればルーカス王子に離宮へ来ていただくように伝えて下さい。リオンさんは、先に離宮に行っておばあちゃんにこのことを知らせて下さい」
「分かった」
「分かりました」
二人はそう言って、走って行った。
「アオ様」
ルディさんが私を呼ぶ。少しだけでも、塔の中で何があったのか聞きたいんだろう。
「ナタリーは、未来を見ることが出来る…」
「まさか!」
気づいたルディさんに、私が頷いて見せると驚いたように、少し目を見開いていた。
「ナタリーヌ姫をこちらに!」
「え?」
「私が抱えて走った方が早いでしょ」
「……ありがとうございます」
そして私達は、走って離宮に戻った。
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「油断したわね、ナタリー」
「すみません、おばあ様」
あれから、ナタリーは回復して今はベッドの頭の方に、クッションを腰のあたりにして座っている。
「最近は全く視ていなかったんでしょう?あれ、久しぶりだとキツいのよね」
「まだまだ、私も修行が足りませんね」
「そんなことないよ、ナタリー」
「ありがとう、アオ」
「あの…何が視えたのか聞いても?」
私達の会話に入ってきたのは、ルーカス王子だ。ルーカス王子には、これまで何があったのかをちゃんと話している。
「分かりました…」
ナタリーは、決心したように口を開いた。
「私が視たのは…。アオが何者かによって、殺されるところです」