準備開始!3
次の日
私は、離宮の西の方に来ていた。
「あの塔かな?」
「だと思いますよ?他にそれらしき建物もありませんし」
今日は、ルーカス王子はもちろんルディさん達も忙しいらしく、リーンさんと一緒に来ている。
またしばらく進むと、最初は上の方しか見えていなかったが、だんだん全体が見えてきた。
塔は、全体が紺色に金粉を散らしたみたいな柄で、中央には三日月が描かれている。
「綺麗な建物ですね」
「本当…。さ、中に入りましょうか」
塔は円形で、中は螺旋階段があってその先に扉がある。扉はその一つだけで、あとは塔の上に出るところまで階段は続いていた。
「確か、お部屋にはアオ様しか入ってはいけないんでしたね」
「そうです、じゃちょっと行ってきますね。あ、ちょっとだけ力が溜められるか試してきますね」
実はルーカス王子から、ここは前の主人である側妃が朝と夜に、必ず神様に祈るのを知っていた前の国王が建てた物で、側妃様はこの建物に国王と自分以外は入らないように言っていたらしい。
だから、ここを使えるようにルーカス王子が言ったとき、国王様は私とルーカス王子しか入ることを許さなかった。
扉を開いて中に入ると、正面に大きな窓があった。ゆっくりと中に入ると、周りにはいくつもの蝋燭が置いてあり、きっと夜には蝋燭に火を灯していたんだろう。
「さ、ちょっとやってみようかな?」
部屋でやっていたように、胡座をかいて座り意識を集中する。すると、部屋と同じように光の玉が浮かんできた。
やっぱり力が溜まるの早いかも、昼間でこれなら夜はもっと早いな。ある程度試した私は、リーンさんと一緒に離宮へ帰った。
その日の内に、ルーカス王子が離宮を訪ねて来て今日のことを話した。
「やはり、集中して力を溜められる場所は必要なんだな」
「みたいですね、これからしばらく夜は塔に行くので夕食はお城で食べて下さいね」
「……お前はどうするんだ?」
「塔に行く前に軽く食べますよ」
「そうか…なら、いい。じゃ俺は帰る」
「見送ります」
ルーカス王子を見送ったあと、部屋に帰るとミリーとレミーが来ていた。
「あ、気付かれたかな?」
「うん、ごめんね」
「でも、ちゃんと情報は仕入れたよ!」
とりあえず、二人に話を聞くとあの男はある貴族の家によく出入りしていたという。そこにいる妖精にも話を聞いて、そこに住む貴族が最近妖精を集め出したとか…。
「そこまで、情報があるならちゃんと調べられる。ありがとう、二人とも」
「「どういたしまして!」」
「さ、二人ももう休んで」
二人も見送って、私もお風呂を済ませて早く休むことにした。