準備開始!
「で、二人にやってほしいことがあるの」
「分かってるよ!私達でも、そいつの残した術の残骸はマリアーヌ様ほどじゃないけど、追うことは出来るよ!」
「任せて!」
「助かるよ、頼りにしてる」
結構、エリクシア家が復活するまで時間がなさそうだから、二人に少しでもあいつを追ってもらっておばあちゃんに、こちらの事情を手紙で知らせて出来るだけ早く、こちらに来てもらうようにした。
「さてさて、私も色々準備しないとね」
力を溜めないといけないから、どこか一人になれるところに行きたいな。
あ、ルーカス王子に言ってみようかな?教会の捜査が終わったあとからでも、やらないといけないし。
「リーンさん、ルーカス王子は今日の執務に戻ったんですよね?何時くらいに終わるか分かりますか?」
「最近は、国王様の誕生日で行うパレードの警備のことで、夜中まで執務をされていることが多いのですが…。」
「そうですよね…」
やっぱりそういうのあるよね、一応騎士団をまとめてるんだし…。ん~、今日は無理かな?
「一応、ルディさんにも連絡して聞いてみましょうか?」
「あ~…。じゃあ、お願いします」
「かしこまりました。さっそく行ってきますね」
リーンさんは、私に一礼してから部屋から出ていった。
できれば、早い方がいいけど仕事の邪魔をするなら別の日でもいいけどね。一応、ルーカス王子の護衛と再教育をっていう依頼だったけど、教育の方は元々ルーカス王子はよく出来たんだろうし、勉強を再開してからの吸収力は凄かったもんね。
とりあえず、ルーカス王子の教育はもう必要ないから、護衛をしっかりやろ。
「この部屋でも少しなら、力を溜めれるかな?」
やってみようか…。
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コンコン
「アオ様、失礼しますよ?」
アオの部屋の扉を開けると、中はまだ日が落ちていないのに暗くて、淡い光の玉がいくつかぷかぷかと空中に浮かんでいた。
しかし、中は暗くてアオがいるのか分からない。
「アオ様、いらっしゃいますか?」
再び声をかけるが、返答はない。
「アオ様!」
「あっ」
今度は少し大きめの声を出すと、返答ではないが確かにこちらに気付いたような声がした。
すると、光の玉が無くなっていき部屋の中は少しずつ明るくなった。
「ごめんなさい、リーンさん。この部屋でも、力が少しでも溜められるか試してたんです。気付かずにすみませんでした」
「いいえ、大丈夫ですよ。あ、そうでした。ルーカス王子から、お手紙をお預かり致しました」
「手紙、ですか?」
リーンさんから、ルーカス王子の手紙を受け取って読んだ。
“夜遅くになるが、アオがいいなら離宮へ行く”
短いな…。これなら、リーンさんに言付けるだけでも良かったのに。
「ルーカス王子、凄く頑張って書いていらっしゃいましたよ」
「でもこれなら…」
「そういうのをしたくなるのですよ」
リーンさんは、ふふっと笑っていた。
なんだか嬉しそうだな、リーンさん。
「そういうものですか?」
「えぇ、それではどうしましょうか?」
「それじゃ、何か軽く食べるものでも用意してお待ちしていますと…」
「アオ様?」
私が不自然に言葉を切ったことで、リーンさんが不思議そうに見ていた。
せっかく手紙をもらったし、私も手紙を書こうかな?
「私も手紙を書きます。少し待っていてもらっていいですか?」
「はい!分かりました。終わりましたら、声をかけて下さい」
「ありがとうございます」
私はさっそく便箋を出して、ルーカス王子への手紙を書いてリーンさんに渡した。
「それじゃ、行ってきますね」
またリーンさんは、ルーカス王子のところへ向かった。
私も続きをやろう。
私はまた、力を溜め始めた。