ゆっくり対策を
「弱点なんてあったのか?」
「まぁ、力が半減するだけなんですけど、二人でないと出せない強力な物もあるので」
「ですが、太陽と月は全く性質が違うと父から聞きましたが?」
さすが、カーランド侯爵。弱点のことも知ってたんだろうな…。
「そうです、太陽の姫が“生”を司るのなら、私は“死”を司ります」
「前に、月の姫は夜の支配者だと聞きました。それが、月の姫、太陽の姫の力にも影響するんですか?」
「はい。太陽の姫は、繁栄とか生み出す力で月の姫は、安らぎを与えたり精神を支えるみたいな感じですね」
「色々とあるんですね」
今は太陽の姫の噂しか、この国には無いんだもんね…。そう考えたら、よくやってきたよね私…。と自画自賛してみる。
「なら太陽の姫も、こっちに呼べばいいんじゃないか?」
「それは、スクリプト王国の民が許さないと思いますよ?ナタリーの人気は、凄いですからね」
「そうなのか?」
「なら、月の姫の扱いはここと変わらないのでは?」
「いいえ。スクリプト王国では、太陽の姫のことより月の姫の方が、より詳しくそして詳細に学ぶんですよ」
「なんでだ?表向きは太陽の姫の方がいいだろうに」
私への嫌みかな?
そりゃあ、表立って動いてるのはナタリーだけどさぁ。私もちゃんと働いてるよ?
「ですが、月の姫は周辺諸国からの依頼を受けていて、それをちゃんとしているからこそスクリプト王国は、他の国から襲撃されないのではないですか?」
さすが、ルディさん!分かってらっしゃる!
「それが分かっているからこそ、スクリプト王国では月の姫をしっかり学ばせるんです」
「なるほどね~、それで月の姫の存在もちゃんと認識されてるんだね」
「そうですね」
ん~なんだろ?ジミーくんも、私に対しての態度変わったよね。
「とりあえず、早急にあの者達の居場所を探さなければいけないな」
「それって、アオ様の力でどうにか出来ないの?」
「無理ですね…。私は探索とか出来ないし、ナタリーが得意かな?」
「そっか、やっぱり苦手なことと得意なことがあるんだね」
探索とか人の動向を探るとか、ナタリーはそんなことが得意。
私は、攻撃とか相手を騙したりとかそういう感じのやつが得意。で、ナタリーより私の方が攻撃力が高いから、私が単体で依頼を受けても不足はないんだよね。
でも、確かに居場所は早く知りたいかも…。おばあ様も探索得意だったよね?
「おばあちゃん…。シュトラント王国の女王さまは、いつからこの国に来るんですか?」
「確か、誕生日パーティーの一週間ほど前には着くかと」
「シュトラント王国の女王がどうかしたのか?」
「シュトラント王国の女王は、ナタリーの実のおばあちゃんで確か、探索ができたはず」
「それなら!」
「でも、何かあっちのことが分かる物がないと…」
そう探索で居場所を探すなら、相手のことが分かる物がないと追えないんだ。
何か…。そう思って辺りを見ているとこの間、人身売買のところで戦った男に負わされた傷があった。
「あ、これがありました!」
「その傷がどうかしたのか?」
「これでたぶん、相手を追えますよ」
「というと?」
「この傷に残っている闇の力の穢れを、ミリーとレミーに追ってもらいます」
闇の力は、その力が強くてしばらくは穢れが残るんだよね。その反対の光の力は、あまり目立たないんだけどね。
「それは、お前に負担がかかるのか?」
やっぱりそうくるよね…。ルーカス王子。
「実際に力を使うのは、おばあちゃんなんで私には負担はないですよ」
「そうか、ならばいつにするんだ?」
「そうですね…。相手が私の力のことをよく知ってるので、できるだけ早く探りたいんです。だから、おばあちゃんがここに到着したらすぐでもいいんですけどね…」
「傷が塞がるのではないですか?」
「大丈夫ですよ、ちゃんと塞がらないようにしますし」
じゃないと、また一からになるからね。
「今日はここまででよろしいのでは?」
「そうですね」
「いい忘れていたが、明日教会の視察が出来ることになった」
「それならよかった、さっそく明日行きましょう!」
「それでは、明日だな。また迎えにくる」
そう言って、ルーカス王子は部屋を出ていった。
さて、私も明日に備えないとなぁ。
ミリーとレミーにも協力してもらわないとな。