一歩前進?
「話は分かりました」
部屋には、私とルーカス王子、ルディさんやジミーくん、リオンさんがいる。
今は、ある程度カーランド侯爵に話終わったところで、カーランド侯爵は少し何か考えたあと口を開いた。
「お二人はそれでよろしいんですか?」
「どういう意味だ?」
「今回のことは、お二人が結婚するのを公にするということ…。民に知らせるということです。その意味がお分かりですか?」
たぶんカーランド侯爵は、今回のことを公にすると私が、正式にルーカス王子と婚約したと発表することと同じこと。
「あぁ、俺もアオも承知している。それに、他にも分かることがあるかもしれないしな」
「他に、でございますか?」
「よろしく頼む」
「お願いします。カーランド侯爵様」
「……分かりました、ではそのように手配します」
「どれくらいかかる?」
「できるだけ早い方がいいんです」
私とルーカス王子が、カーランド侯爵に詰め寄るとしばらく考えたあと、カーランド侯爵はできるだけ早く手配してくれると言った。
それから、昼食をとりに離宮へ戻った。
私達が、離宮の玄関ホールに着くとリーンさんが手紙を手に、走って私達のところに来た。
「アオ様!これを!」
リーンさんから渡された手紙には…。
“月の姫へ
今回の調査から手を引け、さもなければ次は怪我だけでは済まされないぞ。”
と、書かれており。差出人のところには、あの金色の紋章があった。
「もうすでに、あちらには誰が動いているか分かっているんですね」
「妖精達を助ける時に、一戦交えましたしね。私のことも、分かるでしょうね」
「とりあえず、皆さま昼食にいたしましょう。あら?」
リーンさんに促されて、私達は離宮の食堂に向かって歩き始めた。
私…。リーンさんに聞きたいことがあった気がするんだけど…。
「……あ!」
「なんだ!?」
私が突然声を上げたことで、そこにいた全員が振り返った。
「どうしたんだ、急に」
「すみません、リーンさんに聞かないといけないことを、急に思い出したもので」
「私ですか?」
「リーンさん、この子見えますか?」
そう言って私は、あの小さな妖精をリーンさんの前に出した。
「まぁ、可愛らしいですね!」
「ん?何もないじゃないか」
「え?いますよね?アオ様」
「はい、ちゃんといますよリーンさん。でも、その子は私とリーンさんにしか見えません」
「どういうことだ?」
「なぜ、私にも見えるんですか?」
「とりあえず、食事をしてからにしませんか?」
「そうだな」
説明は、昼食を食べてからにすることにした。