治療開始!
結局、その日に私は目覚めることはなく、カーランド侯爵と話す時間が取れたのは、次の日の午後だった。
私は体力が戻って、傷もある程度治り力も戻ったから、まだ檻にいる妖精達の傷を治しに向かった。一応、ルーカス王子に妖精達の傷を治してもいいか、ちゃんと聞いて一日に4~5体までと制限付きで許された。
あ、今私の部屋にその妖精達が居るからルーカス王子が、また新たに私の部屋を用意するように言ったみたいで、今はそっちの部屋で寝起きしている。
「さて、ひどい子から5人っと…」
「やはり、5人治すんですね」
「もしかしたら、この子達が何か知ってるかもしれませんし」
「それはそうですが…。病み上がりですから無理はしないで下さい」
「無理しようとしたら止めるでしょ?ルディさんは」
実は、私が妖精達の傷を治すにあたってもう一つ条件がついた。それは、誰かが一緒にいる時だけだということ。
「ルーカス王子も過保護ですよね~」
「アオ様には、過保護ぐらいでちょうどいいかと思います」
「ルディさんもそう思うんですか?」
「えぇ、これまでのアオ様の行動を見ていれば、絶対に無理をすることは分かりますからね」
それはないって言えないのが、悔しい~!
まぁ、ルディさんが言うことも分かるけど。
「さ、始めましょうか」
私はルディさんと話ながら、準備を手伝ってもらい妖精達の傷を一気に治しかつ、私の負担があまりない方法を選んで行うことになった。
「大地の恵みを…」
そう言うと、妖精達が入っている檻の下に陣が浮かび上がり、妖精達の体が光って傷が塞がり始める。
妖精達の傷が結構深く、少し時間がかかったけど綺麗に治せたみたいだ。
「これで安心ですね」
「はい、しばらく目は覚めないと思いますけどね。さて、宰相様に会いに行きましょうか」
「はい」
そう言って部屋をあとにしようとしすると…。
「お姉ちゃん!」
その声に振り返ってみると、あの時、男に怒られてた子がいた。
「あ!あなた、今までどこいたの?」
「ずっとこの部屋にいたけど、さっきまで寝てて声がするなと思って起きて見たら、お姉ちゃんがいたんだ」
「そうだったんだね、無事で良かったよ!」
私は駆け寄って、その子を手に乗せた。
あれ?この子…。
「あなた、誰かと契約してたの?」
「うん、ぼくのご主人様あいつらに売られちゃった…」
「売られた…。まさか、ここにいる子達全員そうなの?」
「そうだよ、なんかそういう妖精が付いてる子達しかいらないんだって。あの男が言ってた」
じゃあ、あの髪飾りは妖精に反応して拐う子を選別してたってこと?でも、なんで妖精が必要なの?
「それ以外に何か言ってなかった?」
「う~ん…。女の人が強い妖精が必要だって言ってたよ、何か分かんないけどあの人を取り戻すって言ってた」
「女の人?」
あの男の他にもいたんだ…。
「ごめんね、それ以上は分からないや」
「ううん、ありがとう。あ、あなたも行こうか一緒に、傷も治さないとね」
「アオ様」
「この子ぐらいならいいでしょ?それに、ルディさんもルーカス王子も、カーランド侯爵もいるんですから」
「……分かりました、それでは行きましょう」
私達は、部屋を出てカーランド侯爵と約束していた部屋へ向かった。