修羅場?2
「どういうことですか?別にいいとは」
ルディさんが疑いの目をして聞いてくる。
まぁ不思議に思うよね…。一応、ここも結構大きな国だし、ルーカス王子は“外見は”いいし。
今は、私が別にいいって言ったから物凄いアホ面だし、ルディさん達もポカーンとしてるし。
本当の目的を言っちゃお。
「私は別に、結婚なんてしたくはないのです。ただ、私は国王様に依頼を受けたから来ただけのこと…、結婚なんてどうでもいいのです」
「依頼、とは?」
「ルーカス王子の護衛及び犯人の特定。それと、ルーカス王子の教育係りです」
「私の護衛だと?それに、教育係り?馬鹿にするのもいい加減にしろ!そんなこと、父上が頼むわけないだろ。そうでしょう、父上?」
「……」
国王様は、ルーカス王子に本当のことを言ってもいいのか、迷ってらっしゃるみたいね。
まぁ、腐っても自分の息子だしね、心配なんだろうしね。
「国王様、私は衣食住がちゃんと出来れば十分です。結婚のことは、そちらの国のことを考えればした方がいいみたいですが、なるべく支援してくれるよう、父に頼んでみますから」
「ありがとうございます。アオ様」
国王様は、私に近付いて来て私の目の前で方膝を付いた。
国王様は、前国王の三番目の子供。本当なら王位を継ぐはずが無かった。だから、騎士団の団長をしていたらしいんだけど…。不慮の事故で上の二人の兄が亡くなってしまい。王位に就いたのだとか…。中々に苦労人なのだ。
「父上!そんなものに頭を下げるなど…」
「黙れ!ルーカス。今のお前は、この国の事実を知らんだろう。アオ様、どうかルーカスをよろしくお願いします」
「こちらこそ、国王様。それでは、私は疲れたのでこれで失礼します」
そして私は再び、カイルにエスコートされながら、会場を後にした。
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「あー疲れた…」
「アオ様、本当に申し訳ありませんでした」
「どうしてカイルくん達が謝るの?謝るとしたら、ルディ達でしょ?」
「ですが…」
「もう、そんな顔しないで。カイルくん達がいてくれて、私は本当に嬉しいんだよ?」
「勿体無い言葉です!」
本当に、カイルくん達みたいな子がいるのは有難い。若い人達みんなだったら、大変なことになるしね…。
「アオ様、何か飲み物を用意致しましょうか?」
「あ、お願いします。リーンさん」
コンコン
「誰か来たみたいですね」
「どうぞ」
私が声をかけると、部屋に来たのはルディさん達だった。
すっごい疑いの目でみられてる。
「先ほどは、失礼致しました。急に違う用が出来てしまって」
父親に言われたか、国王様に言われたか分からないけど、嫌々ながら言ってることは分かる。
「気持ちが入っていない謝罪は結構です。逆に腹が立ちます。で、用件は?」
私がそう言うと、三人とも今度は本当に睨み付けながら私を見た。
嫌なら他の人にでも任せればいいのに…。
「アオ様には、離宮へ移っていただきます」