不思議な子~ジミー~
「ねぇねぇ、何かするの?」
「するの~?」
「内緒。お城に着いたら教えてあげる」
「えぇー今教えてよー」
「教えてよ~」
「しー!あまり騒がないの。真夜中なんだから」
僕はそんな女の子達を、後ろから歩きながら見ている。あ、三人の内二人は正確には人じゃなく妖精だけどね。
僕が主に観察してるのは真ん中にいる子。
スクリプト王国の王女で、月の姫だ。
なんでその王女様を観察するようになったか、それはこの姫様、アオ様と会ったとこから説明しないとうまく説明出来そうにないね。
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それは、僕とルディそしてリオンが仕えるジョイール王国の王子、ルーカス王子に結婚の話が出たとこから始まった。
相手は小国ながら、周辺諸国に一目を置かれているスクリプト王国の王女だった。
でも、僕達三人はそれがおかしいことにすぐに気づいた。
「しかしながら国王陛下、スクリプト王国の王女であるナタリーヌ姫は、最近ご婚約なされたと聞きましたが…」
そうスクリプト王国のナタリーヌ姫は、太陽の姫と呼ばれていて。容姿端麗で聡明で、いつも笑顔を絶やさない優しい姫として人気が高かったのだが、最近恋仲になった隣国の王子と婚約したと聞いていた。ルディがそれを言った時、陛下は首を横に振った。
「違う。ルーカスと結婚するのは月の姫の方だ」
「月の姫、ですか?」
「国王陛下、ルディたちの代はあまり月の姫について知らないのです。長い間、月の姫は現れていませんでしたし、今回の月の姫は異世界から来た側妃が産んだ姫で、まだ異世界にいると伺っております。ルディ達は知らなくて当然かと」
そう言ったのは、この国の宰相でルディの父親であるカーランド侯爵だ。
陛下はその説明に納得がいっていないようで、学校で習うはずだと言っていた。陛下の言う通り、確かに習った。習ったはずだけど、どんな内容だったかは全く覚えていない。たぶん、ルディもリオンもだろう。
とりあえず、僕達三人はその姫様を迎えに行くことになった。
第一印象は“瞳の色が綺麗だと思った”かな?
まぁまぁ整った顔してるけど、髪の色が黒なのはあまり好まれない色だ。
それに比べ、見送りに出ていたナタリーヌ姫の綺麗さはまさに太陽みたいに輝いてたよ。ナタリーヌ姫が、ルーカス王子の婚約者になればいいと思うほどね。
それから僕達は、本性を見せて怖がらせようとしたんだ。アオ姫から今回の婚約を無かったことにしてもらうために。ルーカス王子はミリア嬢を自分の妃にするって言ってたしね。
それに、ルーカス王子から直々に頼まれたし。ルーカス王子の最近の行動にも、不満があったし申し訳ないけど、アオ姫で発散させてもらおう。
でも、アオ姫はまったく怖がらなかった。まぁ、急に態度が変わったことには驚いてたけどね。
そうこうするうちに、城に着いて僕達はアオ姫を部屋へ送ったあと、陛下とルーカス王子に報告へ向かった。
リオンやカインくんとかの、アオと出会った時のことも書けたらいいなと、思っています。
明日もう一話、ジミーくんの話を投稿します。