修羅場?
さーて、どんな反応するかな~。
一応、髪の色が戻った私は月の女神に生き写しなのだとか…。実際、うちの城にある月の女神の絵とそっくりなんだよね。瞳の色が違うだけで。
だから、ルディさん達の反応がもの凄く楽しみ。
侍女さん達に、最終確認してもらって私はルディさん達がいるであろう廊下に出たんですけど…。
「…えっと、どういうことですか?」
「誠に申し訳ありません!」
私にそう謝るのは、最近騎士見習いを終えたばかりの若い騎士3人だ。
騎士になるのは、平民は年に何回か行われる試験で、貴族の次男だったり家督を継がない者は騎士学校に入り、騎士見習いとして学んでから試験があって、騎士になれる。
騎士学校は3年で、その3年で騎士としての心構えやある程度のマナーを学ぶ。だから、貴族の騎士がなるのは、城で働く近衛騎士で主に要人の警護だったりする。平民出身の子達は、実力がある程度ついてるから、国境の警備に就いたりしている。
この子達は、中学生ぐらいかな?貴族出身は、イケメンな子達が多いんだよね~。
で、なんでこの子達がいるのかというと…バッサリいうと、ルディさん達がボイコットを起こしたんだよね~。で、代わりにこの子達が来たって訳。
「やってくれますね…」
「本当に、申し訳ありません!」
「そんな、君達が謝ることじゃないよ」
「でも!」
「じゃあ、今夜のパーティーのエスコート君達にお願いしてもいい?」
「「「もちろんです!」」」
「それじゃ、名前を教えて」
淡い緑色の髪にブラウンの瞳が、カイル。
淡い水色の髪にパールの瞳が、オーディ。
真っ赤な髪に淡い橙の瞳が、ケル。
で、侍女のリーンさん。リーンさんは薄い紫色の髪に同色の瞳の人。とりあえず、この人達は信じても大丈夫かな?
「アオ様、もうパーティーへ行きませんと」
「うん、それじゃ行こっか」
ーーーーーーーー
パーティー会場のドアの前
もう、始まってるみたいだな。
「い、行きましょうか!」
「カイル、お前が緊張してどうするんだ」
「ほんとほんと、アオ様は全然動じてないのに」
「ふふっ、大丈夫だよカイル。遅れたのは、ルディさん達が急に、カイル達に任せたからだし」
「は、はい。じゃあ行きましょう」
オーディとケルが扉を開けてくれて、カイルにエスコートされながら会場へ入った。
私が会場に入ると、今までなっていた音楽が止みパーティーに参加している人達の視線が私に集まる。
沈黙を破ったのは…。
「月の女神様だ」
国王様達でもなく、ルディさん達でもなく、王子でもない。パーティーに参加していた、父さんと同じ年かそれより上の年齢の貴族の人だった。
確か、月の女神を知らないのは父さん達世代より下の人達だって言ってたな。
「月の女神?」
「誰だ?」
「お前達、知らないのか!」
ネタばらしされる前に…。
「遅れてしまい、申し訳ございません。国王陛下」
「あ、あぁ。遅いので心配しましたよ、アオ様」
「少々手違いがあったようで、ルディさん達に代わりこの子達にエスコートをお願いしていたら、遅くなってしまいました」
「父上!何を言っているのですか!こいつは偽物です!髪の色が正反対ではありませんか!」
「髪の色は、母の故郷へ行っていたので黒だったのです。本当の色はこちらです」
「そんなの嘘に決まっているだろう!」
「静まれ!ルーカス。お前達は、月の女神の伝説を知らぬのだろう。アオ様、愚息の数々の無礼申し訳ない…」
「いえ、大丈夫です。父からも言われていましたので」
ルーカス王子が、あそこまでバカになってるとは思わなかったけど…。
「ルディ…確か、今日のエスコートは君に頼んでいたはずだが?」
「ルディ!なぜ急に代わったんだ!」
あれは、ルディさんのお父さんかな?
「急に、外せない用事が出来まして。申し訳ございませんでした。アオ様」
「いえ、大丈夫です。代わりにこの子達がエスコートしてくれましたから」
「そうか……アオ様のエスコートありがとう」
「いえ…」
「それでは、パーティーを再開しよう。このパーティーは、ルーカス王子とアオ様の婚約披露パーティーだからな」
「父上!私にはもう心に決めた人がいます」
そういって、ルーカス王子が隣に連れてきたのは、桜色の髪に春の空のような瞳を持つ王道の美少女だった。
「私、ルーカス・ジョイールはこちらのミリア・マーリン嬢と結婚する!」
「なっ!」
「よって、アオ様との婚約は白紙に戻していただく!」
「ルーカス!」
あら~。やっぱりこうなったわね~。
国王陛下はめっちゃ怒ってるし、王妃様はめまいを起こしたのか、椅子にぐったり座ってて侍女さん達が声かけてるし、ルーカス王子とミリアさん?は、どや顔で私見てるし。
「あの~別に私は構いませんよ?」