お忍び5
次の日
「そういえばアオ様。契約をしている使い魔のところへは、いつ行かれるのですか?」
「あ、明後日の夜にでも行ってきますよ。」
「なら俺が一緒に行きます」
ルディさんが真っ先に名乗りをあげる。
でもなぁ…。
「ごめんなさい。今回は私一人で行きます。私が契約している使い魔が住むところは、男性は入ってはいけないところなので」
「そうですか…」
凄く悲しそうだけど、今回ばかりは無理だ。
使い魔達の国では、私もルディさんを守れるか不安だしね。
何かお土産持っていかないとな。なんにしよう?お菓子がいいよね、あの子達好きだし。
とりあえず、お茶のおかわりを淹れていたリーンさんに聞いてみた。
「この国で有名なお菓子って何ですか?」
「そうですねぇ…。焼き菓子では、他の国よりも良いものが多いですよ」
「何かあるのか?」
ルーカス王子が不思議そうに聞いてくる。
「私が契約している使い魔は、お菓子や甘いものが好きなんです。なので、お土産にと思って」
「それはいいですね。では、今日は町にあるお菓子屋さん巡りはいかがですか?」
カーランド侯爵の提案に、私とリーンさんは目を輝かせてルーカス王子を見た。
今日は、リーンさんも一緒に行動しますよ。
「……わかった。」
ルーカス王子のその言葉に、私とリーンさんは笑顔で頷いた。
実のところ、ルーカス王子はそこまで甘い物が好きではないようで、食後のスウィーツはあまり食べず柑橘系の果物を少しだけ食べている。
今回は私を案内する、ということになっているが実際は、ルーカス王子が決めている。一応警備のこともあるからだ。
「ありがとうございます、ルーカス王子」
「いや…。俺は部屋に戻る」
そう言うと、そそくさと部屋を出ていった。
ちょっと顔が赤かったみたいだけど、大丈夫かな?
「おやおや、また大変なことになってますね」
「カーランド侯爵?」
「あぁ、お気になさらず。あれは、照れているだけですから」
照れてる?何か照れるようなことがあったのかしら?
そう思っていると、カーランド侯爵が私の顔を見てまた笑った。
「顔に出ていましたか?」
「えぇ、どこに照れるところがあったのだろう?と思ったのでしょう?」
完全に読まれている…。というか、私が分かりやすいだけだけどね。
「本当に隠し事が出来ないところは、涼華様に似たのですね。あの方も隠し事が苦手でした」
「あー確かに、そうかもしれません」
「いや、昨日ジョシュ様と話した時にアオ様は、外見はジョシュ様の血を濃く継いでいらっしゃるみたいですが、中身は涼華様そのものと言ってもいいぐらいです」
本当にお父さんとお母さんと仲良かったんだなぁ。住んでいる国は違っても、お父さんを心から尊敬してるんだな。
「それじゃ、私達も準備に行きましょうかリーンさん」
「はい、アオ様」
「カーランド侯爵、今回はありがとうございました」
「いえ、こちらこそ。久しぶりにジョシュ様にもお会いでき、とても嬉しかったですよ。また、いらっしゃって下さいね」
「ぜひ!」
そして、部屋を出て町へ出る支度をし始めた。
今回から更新を20時にしました。
よろしくお願いします。