ミニ集会
私とリーンさんが屋敷に向かって歩いていると、門の辺りが明るくなっていた。
「アオ様…。あれは、もしかして…」
「あれ?眠りの術をかけてたんだけど…」
よく見てみると、ルディさんが灯りを持って待っていた。
カーランド侯爵、ルディさんに話したのかな?それか、ルディさんが自発的に何かしてたのかな?
「お帰りなさいませ、アオ様」
「ただいま…。あの、ルディさん?」
「何でしょうか?」
「…怒ってますね」
「話は中で聞きます。父もルーカス王子も中で待っていますので」
「ルーカス王子まで!?あ、リーンさんはもう休んで下さい。それと、その髪飾りは私が預かりますね」
「はい、かしこまりました。それでは」
リーンさんは私に髪飾りを渡して部屋へ戻り、私はルディさんとカーランド侯爵とルーカス王子が待つ部屋へ向かった。
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「お帰りなさいませ、アオ様。何か収穫があったようですね。何事もなくてなにより」
「全く、何かするのなら一応言っていけ」
「大収穫でしたよ!すみません、ルーカス王子」
反応は二人とも違うけど、心配してくれたみたい。
「それでその収穫とは、どのようなものですか?」
「あ、その前に父とも連絡をしてもいいですか?」
「えぇ、大丈夫ですよ」
ルーカス王子は頷いただけだった。一応、婚約破棄のこともあるしね。それなりに緊張はするのかな?
とりあえず、お父さんといつものように連絡をする。
「こんな夜中に連絡をしてくるってことは、何か掴めたかな?」
「うん。あ、今ねカーランド侯爵とルーカス王子も居るから、ちょっと拡大するよ」
そう言ってから、カーランド侯爵とルーカス王子から距離をとって、術をかける。
すると、空いたスペースにお父さんの姿が現れる。
「おぉ、久しぶりだね。ビリー」
「お久しぶりです。ジョシュ様」
「娘が世話になってるみたいだね。あんまりにも無理しそうなら、止めてね」
「承知しました。うちの愚息が、アオ様がこちらに来てすぐ無礼を致しました。謝罪しておきます」
「あぁ。まぁ、今はよくしてくれてるみたいだし全然大丈夫だよ」
カーランド侯爵は、立場的に様付けで呼んでるけど、二人が仲が良いことはその二人の雰囲気でよく分かる。
「で、どうだった?」
「あ、お父さん調べて貰いたいものがあるの。これなんだけど」
そう言ってリーンさんから預かった髪飾りを父に見せた。
「変わった色の宝石だね」
「それは、最近女性に人気のものだとか」
「今日、人身売買の場所も見つけたんだけど。そこで売られていた女性はみんな、この髪飾りをしてたの」
「分かった、調べるよ。送ってくれるかい?」
「分かった」
私はその髪飾りを、あらかじめ術をかけた風呂敷で髪飾りを包んだ。
すると、それがみるみる形を変え鳥の姿になった。
「お父さんのところへ」
そう言うと、鳥は私が開けた窓から飛んでいった。
「明日には着くよ」
「うん、ありがとう。さて、もう少し詳しい話を聞こうかな」
とりあえず、私は今日見たことを全部お父さんとカーランド侯爵、ルーカス王子にルディさんに話した。