婚約パーティー
「もういいだろう」
馬車でジョイール王国へ出発して2週間近くなった。ここまで、いくつかの町や村で休みながら進んでいた。
もうそろそろ、ジョイール王国だろうというところでルディさんがさっきの言葉を言った。
何がもういいだろう、なんだろう?
「あーやっとかー、でもせっかく嫁にもらうなら太陽の姫にすれば良かったのに」
「それは無理だろ、太陽の姫には婚約者がいるからな」
「でもさーリオン、これから大切に守っていくんなら、美人がいいじゃん」
んー…。私、ディスられてるね。
ま、こうなるだろうとは思ってたけど…。
「まさか、月の姫がこんなどこにでもいそうな平凡な子とはねー。がっかりだよ」
「少し、口を慎め。それでも、スクリプト王国の姫には違いない」
父様から聞いていたとおりね…。
出発する日の早朝、父様から呼び出され話をされた。なんでも、西側の方はあまり月の姫についての話をされていたいらしい。されていないっていうか、忘れられてるらしい。
それは、生まれてからずっと私はこの世界には居なかったし、ずっと噂されるのは太陽の姫の話ばかり、だから月の姫についてはもうほとんどの人が忘れているらしい。
だから、歓迎はあまりされないだろうと…。
それから、私が嫁ぐジョイール王国の王子には好きな人がいるらしい。それで、勉強はしないで1日中、好きな人といるらしい。
それで、ジョイール王国の国王が直々に父様に王子を正気に戻して欲しいと、依頼がきたらしい。
私の今回の依頼の内容は、王子の身を守りつつその犯人を見つけて、王子の教育もして欲しいらしい。
一度受けた依頼はちゃんとやるけど…。まさか、城に仕えている人のほとんどがこの人達みたいだったら、嫌だなー…。
「アオ様、到着したら部屋へ案内します。今日はゆっくりと休んで下さい。明日、陛下と王子に会っていただきますが、会うのは明日開かれるアオ様と王子の婚約パーティーです。それまでは、部屋に居ていただきます。よろしいですね」
問いかけじゃないな、もう最初から決まったことなんだろうな…。
「分かりました」
それからしばらくして、ジョイール王国の城に着いた。
もう夜になっていて、私は隠されるように城に入った。それから、部屋に案内された。
それから、侍女さん達に体を磨かれすぐに眠った。
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翌日
「おはようございます、アオ様」
「んー…。もう朝か」
侍女さんが、寝室の外から声をかけてきた。
私はベッドから出て、寝室から出る。
「……アオ、様…ですか?」
「そうですけど?あ、もしかして髪の毛の色変わってますか?」
「はい…」
やっと、戻ったんだ。
「ご病気…」
「あ、違いますよ?私、この世界ではない世界に居たんで髪の色が変わってたんです。こっちが本物の色ですよ」
「そうだったんですか…とても、お綺麗ですね」
「ありがとうございます」
「それでは、身支度をしましょうか。パーティーまでは、この部屋から出られませんが」
「はい、分かりました」
それから、パーティーが始まる夕方まで部屋で過ごした。
時間が迫り、私はドレスに着替える。
ドレスは、淡い水色で銀糸で細工されてる綺麗なドレスだった。オフショルダーで、スカートはふんわり広がっている。
「とても素敵です、アオ様」
「ありがとう、みんなのセンスがいいんだよ」
私は何人かの侍女さんと、仲良くなった。
年も近くて、友達みたいになった。
コンコン
「あら、ルディ様達が迎えに来たようですね」