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ある令嬢の焦り3

 それからしばらくすると、王妃様の誕生日パーティーが開かれた。

 私とルーカス王子はいつものように会場へ一緒に入ろうとした、だがルディ様達に止められてしまった。

 やはり、スクリプト王国の月の姫は私のお父様達の世代には影響が大きいらしく、ルーカス王子がエスコートをしなければ外聞が悪いらしい。ルーカス王子は仕方なく、アオ姫をエスコートすることになった。


 私がパーティーの間、ずっとルーカス王子とその隣に座るアオ姫を見ていた。

 そこは私の場所、私だけの場所なのに!


「さて、そろそろご挨拶に行こうか」


 私の心を見透かしたようにお父様が言ってきた。


「えぇ、そうね」

「ルーカス王子もお疲れだろうから飲み物を持っていこう、これをルーカス王子に渡して差し上げなさい」

「はい、ありがとうございます」


 お父様は私にとても甘い、ルーカス王子と少しでも話せるようにこうやって、機会をつくってくれる。


 私とお父様が挨拶に行くと、ルーカス王子が笑顔で迎えてくれた。アオ姫は呆れたような感じでルーカス王子を見ていた。本当にルーカス王子と結婚しようとしてないと分かり、ほっとする反面そんな目でルーカス王子を見ないでほしいとも思う。

 挨拶をしてルーカス王子に飲み物を渡そうとすると、突然アオ姫に取られてしまった。


「すみません、私も喉が乾いていたので」


 と言っていが、私はとても腹が立った。

 ルーカス王子も心の中で苛立っているようだが、会場にはいろいろな貴族がいるためこらえていたようだ。

 その後、パーティーはお開きになりルーカス王子はアオ姫をエスコートして会場をあとにした。


 私は城にある私専用の部屋へ帰り、きっと苛立っているだろうルーカス王子のために、ハーブティーを淹れて待っていた。


 でもこの日、ルーカス王子が私の部屋を訪れることはなかった。



 ルーカス王子が部屋を訪れなくなって数日、久しぶりにルーカス王子が訪れた。私はとても嬉しかったが、その後に言われた言葉に衝撃を受ける。


「久しぶりですわね、ルーカス王子。寂しかったですわ」

「ミリア…。すまないが、しばらくは自宅に戻ってくれないか?」

「ど、どういうことです?なぜ?」

「すまない、しばらくは仕事が忙しくこちらに来る余裕は無くなってしまう。それなら、この機会に一度自宅に帰ったらどうかと思ったのだ」

「そんな!私は大丈夫ですわ!」

「ミリア、分かってくれ」


 それでも私は拒否しようとしたが、ルーカス王子が悲しそうに顔を歪めていたのを見て、渋々承諾せざるおえなかった。


 ルーカス王子は時間ができれば会いに来ると言っていたが、私が自宅に戻ってから今まで一度も会いに来てはくれていない。

 それどころか、ルーカス王子が離宮へ毎日のように行ってアオ姫と食事をしているという噂が流れ始めた。

 ルーカス王子は、アオ姫との時間をつくるために私を自宅に帰したの?


 私はもういらないの?


 最近はそんなことを思い、日に日にアオ姫へ嫉妬し、ルーカス王子に苛立って物を投げつけたり、侍女を罵倒したりと以前の私ではあり得ない行動をしていた。


「おやおや、酷いありさまだね」

「お父様……」

「そんなことでは、ルーカス王子が来た時驚いてしまうよ」


 お父様は私の中の葛藤など、理解してくれないだろう。そんな恨みを込めた目で見ていると、お父様は怪しい笑みを浮かべ、私に言った。


「もうしばらくの辛抱だよ、ミリア。お前がこの国の王妃に、ルーカス王子の妻になるのはもう決まっているのだから、そんなに焦る必要はないよ」

「何をお考えですの?」


 お父様はそれには答えず、また笑みを浮かべた。

 お父様がこうだと決めれば、そうなってきた。今まで全て…。ならば、今回もそうなのだろう。ならば、私も力になる。


「私ができることがあれば言ってくださいね」


 ルーカス王子の妻の座はアオ姫にも、他の人達にも誰にも譲りはしない。どんな手を使っても。




今回でミリアside終了です。

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