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手合わせ

「えっ!アオ様、午前の訓練観ただけで分かったんですか?」

「うん、それでね。多分、怪我してない方に負担がかかり過ぎてない?たまに、相手の攻撃受けた時に踏ん張りが効いてない時があるよね?」


 私がどんどん指摘をしていると、ヴィスタも口をはさみ始めた。


「そうだ、さっきも俺の攻撃受け流せてなかったぞ。あれじゃ、俺の訓練にならねぇ」

「ごめん、軽い捻挫だから放っておいていいかと…。」


 カイルくんは物凄く申し訳なさそうにヴィスタに謝っていた。

 カイルくんの性格なら、騎士団の仕事なら少しの痛みは我慢しちゃうんだろうな。一度しっかり言っておかないといけないかもな。


「カイルくん」

「はい?」


 カイルくんはヴィスタから、私へ視線を向ける。


「頑張るのはいいことだと思うし、それはカイルくんの長所だとも思う。」

「はい」

「でもね、頑張るのと無理をすることは違うんだよ?時には体を休めることも大事。」

「はい、分かりました…」

「とりあえず、その怪我が治るまでは負担をかけないように軽い筋トレだね!」

「筋トレ?」


 あ、筋トレってこっちの世界はないんだっけ?

 スクリプト王国だと、お母さんが先に色々教えてたんだ。

ヴィスタもルディさんも“なんだそれ”みたいな顔してるな。


「えっと…腹筋とか訓練してなくても筋力が落ちないようにする、みたいな?」

「あぁ!筋力が落ちないようにすればいいんですね!」


 良かった!どうにか伝わった!

 それにしても、筋トレって分からないんだなぁ…。


「アオ様、そろそろ手合わせをお願いしてもよろしいですか?」

「あ、はい。大丈夫ですよ」

「それではオーディに声をかけてきます。カイル、ヴィスタ、アオ様の案内を頼む」

「はい!それじゃ行きましょうか」


 ルディさんはオーディくんを呼びに、私はカイルくんとヴィスタに連れられて、最初に観たコロッセオみたいなところに案内された。



ーーーーーーーーーーーーー




 私が剣のチェックをしていると、ルディさんがオーディくんを連れてやって来た。


「アオ様、よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくね」

「アオ様、少しよろしいですか?」


 オーディくんと挨拶を交わしていると、ルディさんから声をかけられた。


「どうかしましたか?」

「実は、今回の手合わせを他の騎士たちにも見学して貰おうと思うのですが、よろしいですか?」

「はい、大丈夫ですよ」

「ありがとうございます、呼んで参りますのでもうしばらくお待ち下さい」

「はい」


 それからほどなくして、私とオーディくんを囲むようにある客席がほとんど埋まったところで、今回の判定をするルディさんが手合わせの説明を始めた。


「今回は相手が参ったと言ったとき、剣を弾き飛ばされた時に決着とします。2人ともよろしいですね?」

「はい」

「はい!」

「では、構え!」


 ルディさんの構えの声で、私とオーディくんは剣を構える。


「始め!」


 さて、どうしようかな?まずは様子をみようかな。

 私の考えがまとまったところで、オーディくんが仕掛ける。


「テヤ!」

「…」


 それを私も剣で受ける。なかなかに重いけど、まだ甘いかな?

それを受け流し、私も反撃に入る。

受け流したあと、下からオーディくんの脇腹を狙って剣を振るう。オーディくんは態勢を崩しながらもなんとかそれを受け止める。


「くっ!」

「お、やるね!」


 オーディくんは受け止めたあと、私から距離をとった。

 あの態勢でしっかり剣を止められるのは、体幹がぶれてないんだな。よく鍛えてあるね。

 距離をとると、息を整えるように一度深呼吸をしてしっかり私を見てくる。さて、どうするかな?


「いきます!」


 お、宣言してきた。


「どうぞ」


 とりあえず、返答しといて。

 オーディくんが走り込んでくる。


「はっ!」


 連打で突きをしてきた!それを交わしていく。

 けっこう速いな。でも…。


「ハッ!」

「うっ!」


 弾かれた剣が離れた地面に突き刺さる。


「勝者、アオ様!」


 ルディさんの宣言を聞いて、私はオーディくんの首筋の辺りに寄せていた剣を放した。


「はぁー…。さすがですね、アオ様」

「そんなことないよ、最後の連打は正直きつかった」


 尻餅をついていたオーディくんに手を貸して立たせると、周りから拍手が聞こえてきた。

 そして、ルディさんが弾かれた剣を持って近付いてきた。



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