依頼2
「どういうこと!ジョシュ」
「どうしてアオが嫁に行かなきゃいけないの!」
お父さんに、お母さんとソフィーヌ様が詰め寄った。
「お、落ち着け二人とも嫁に行くといっても期限付きの偽装結婚だ、だからセイにキズが付くこともない」
「でも、どうして?」
「実は、ジョイール王国のルーカス王子が命を狙われているらしい、今回の依頼はその王子の護衛と犯人の特定らしい…」
「お父様、それはあまりにも危険ではないですか?」
「だが、先方からどうしてもと言われてな。月の姫の力でぜひ助けてくれと…」
「指名なのですか?」
「あぁ、それにナタリーには婚約者がいるからな」
なるほど、それで私か…。
「いつ出発したらいいですか?」
「アオ!行くの?」
「大丈夫、無理はしないしダメそうなら帰ってくるよ」
「でも…」
「涼華、アオは言い出したら聞かないの知ってるでしょ?」
「でも、ソフィー…」
「大丈夫よ、あなたとジョシュの娘ですもの」
「ありがとう、ソフィー様」
「でも、これだけは約束してアオ。絶対に無理はしないこと、助けが必要ならすぐに知らせて頂戴」
「分かった」
「アオ…」
「ナタリー…そんな泣きそうな顔しないで、大丈夫だから」
「あっちにいったら絶対に手紙を書いてね、必ず無事に帰ってきて…」
「分かってる」
「明日、ジョイール王国からの使いの者が来ることになってる。アオは、その人達と一緒にジョイール王国へ向かってもらう」
「分かりました」
「さ、話は終わりね。荷造りは侍女に任せて、私達はゆっくりしましょう」
お母さんの言葉で私達は、食事をしたりこれまでの話をしたりと、団らんを楽しんだ。
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次の日
「陛下、ジョイール王国からの使いが来ました」
「着いたか、それでは行こうか」
私達は、ジョイール王国の使いがいる城の入り口まで行った。
そこには、3人の男の人がいた。
「初めまして、スクリプト国王陛下。私はルディ・カーランドです。これより、ジョイール王国に着くまで月の姫の護衛をします」
白に近い銀の髪に、群青色の瞳のイケメンさんが挨拶をしてきた。
多分、3人の中で一番位が高いのだろう。もしかしたら、団長かな?
「よろしく頼む。この子が私の娘で、月の姫のアオだ」
「初めまして、アオ・スクリプトです。今日からよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、ではさっそく出発します。よろしいでしょうか?」
「はい、かまいません。では、お父様、お母様、ソフィー様、ナタリー、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「体に気を付けて」
「はい」
私は、ルディさんに促され馬車の中に乗り込んだ。
お母さんとナタリーは今にも泣き出しそうだったけど、我慢してたのか笑顔がおかしくなってた。
私の後から、ルディさんと他の二人が馬車の中に入ってきて、ルディさんの合図で馬車が出発した。
私は窓から、お父様達の姿が見えなくなるまで手を振った。
私が手を振り終わったタイミングで、ルディさんが話しかけてきた。
「他の二人を紹介しても?」
「はい、どうぞ」
「じゃあ僕から、初めましてジミー・クリントです。姫様と同じ年です」
「次は俺、リオン・フェイツです。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
リオンさんは、赤みがある黒髪に夕焼けのような色の瞳細身の人だ。落ち着いた感じがある。
ジミーさんは、明るいオレンジの髪に新緑のような瞳の人。