和やかな食事タイム
離宮へ到着し、馬車から降りると私が到着するのを待ち構えていたらしいリーンさんが、小走りで駆け寄ってきた。
「アオ様!実は…」
「あー、分かってる。ルーカス王子が来てるんでしょ?」
「はい…」
はぁ…。知らず知らずに溜め息が出る。
「いや~ごめんね~。一応、ルディから今日騎士団の稽古を見物するって聞いてたから、それも伝えたんだけどね」
ジミーくんも居たのか。そりゃそうか、ルディさんが私と一緒にいるから、リオンさんとジミーくんはルーカス王子に付いてないといけないしね。
「いや、最近のルーカス王子の行動を観てたらだいたいは察しますよ。」
「アオ様のそのハッキリものを言うところ、とても素晴らしいと思います」
さらっとリオンさんまでが会話に入ってきた。
「アオ様、ルーカス王子が待ちくたびれています。急ぎお願い致します」
「あ、はい。リーンさん急ぎましょう!」
「はい!」
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そして、私はリーンさんが用意をしてくれていたドレスに着替え、髪も纏めてルーカス王子が待っているであろう食堂へ急いだ。
「遅いぞ」
食堂へ入ると、いつも以上に不機嫌さを全開にして私を見ていた。
「すみません、騎士団の皆さんの稽古の見物をしていて遅れてしまいました。」
たぶん、ルディさんから話は聞いてると思うけど一応、言っておいたほうがいいよね?
「今度からは…」
「?」
「今度からは城に来るなら、俺に言え」
「何故ですか?」
「それは…」
ルーカス王子は何かモゴモゴ言ってるけど、まったく聞こえてこない。それに、ちょっと顔も赤い?
すると、ルーカス王子のその様子に呆れたのかルディさんが言ってきた。
「ちゃんと言わないと、アオ様も分かりませんよ」
「分かってる!」
ルディさんに指摘され、覚悟を決めたのか私に目を向けた。
「俺が案内をするからだ」
「え?ルーカス王子自らですか?」
「そうだ」
「でも、ルーカス王子は勉強やら公務やらで大変では?」
「それは大丈夫だ。やってなかった分の勉強や公務は、だいたい落ち着いてきているからな」
「でも…」
それでも、申し訳なく思い私が断ろうと思って口を開こうとすると、ルディさんに遮られる。
「ルーカス王子とアオ様は婚約しています。ですので、ルーカス王子が案内をしていても何ら問題はないかと。それに、結婚も婚約もしていない若いのが毎回案内をするのも、あまりよろしくないかと」
さすがルディさん、隙がない。
ま、ここまで言われて断る理由はないかな。
「それでは、城に行く際はルーカス王子に知らせますね」
「分かった」
「実は、お昼からも騎士団の方に行こうと思っているんですけど…」
「ん、分かった。午前中に今日中に片付けなければならないものは片付けてある、昼からは俺も行く」
「実は、アオ様には少し手合わせもしていただくつもりなのです」
「そうか、なら俺も少しやろう」
ルーカス王子もやるのか…。確か、けっこう強いらしいけど…。最近は勉強とかと一緒で、怠けてたらしいしな。とりあえず、観てみないと分からないか。
「さ、皆様。お話はそれぐらいにして、お料理をどうぞ」
リーンさんに促されて料理に手を付け始めてからも、他愛もない話をして盛り上がった。
本当に、最初の頃とは大違い。
キャラの最初の設定と合わせながら、本文を投稿しますがおかしな点があれば、ご指摘いただけると幸いです。