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穏やかな日

「おはようございます、アオ様」

「おはようございます、リーンさん」


 満月の日の次の日、私はいつものように朝を迎えていた。昨日の怪我も、満月効果でほとんど痕が見えない程に治っている。


「本当に傷の治りが早いですね…」

「満月でしたし、かすり傷でしたからね」

「そうでしたね…。あ、アオ様」

「どうしました?」

「また来てますよ」


 リーンさんが、ニヤニヤ笑いながら言ってきた。

 また来てるのか、ルーカス王子。


「本当にどうしたんですかね?」

「心を入れ替えたのでは?アオ様は、ルーカス王子の代わりに毒を自ら飲んだんですから」

「あれは、一応私はルーカス王子の護衛を兼ねて、依頼を受けていますから」

「いいえ、普通なら死なないと分かっていても怖いものですよ」

「まぁ、そうですね」


 あの時は、今にも飲みそうだったからなぁ…ルーカス王子。だから、私も慌てて奪って飲んじゃったんだけど。


「さ、準備して早く行きましょう。先に居ても、アオ様が来るまでは食べない、て言ってるみたいですし」

「はぁ…面倒ですね」


 私は出来るだけ早く準備をした。



*******



「おはようございます、ルーカス王子。ルディさん達も」


 食事をする広間に来ると中には、ルーカス王子が本を読んでいてその後ろにルディさん達が並んで立っている。


「あぁ…」


 ルーカス王子は私の挨拶に返事を返すと、じっと私を見てきた。


「あの…何か?」

「いや、怪我がまったく目立たないから…」

「あぁ…もうほとんど見えないぐらいですからね~」

「昨日の今日でってすごいよね」

「そうですね、ほとんど人達は気持ち悪がるんですよね」


 私がそう言うと、他のこの場にいた人達が固まった。


「あの、大丈夫ですよ?言われ慣れてますから、全然大丈夫ですよ?」

「アオ様、それは大丈夫とは言いません」


 ルディさんに冷静に否定されてしまった。

 他の人達も、悲しげな顔をしていた。だから、私は話題を替えることにしてルーカス王子に質問した。


「あ、あの、毒の出所は分かったんですか?」

「いや、今、調べているが全くだ」


 やっぱりか、とりあえず父様にもう一度連絡しておいた方がいいかもな。

 私が今後のことを考えていると、今度はルーカス王子の方から質問してきた。


「満月の日、歌を歌ったそうだがそれは古くから伝わるものなのか?」

「あ、はい。代々、月の姫にだけ伝わる鎮魂歌で私も、前の代の月の姫に教えて貰ったんです」

「だが、ここ何年かは月の姫は現れていなかっただろう、どうやって伝えられたんだ?」


 リーンさんが言ってたのは本当だったんだな、最近は宰相様に月の姫についてを聞いてるって。


「月の姫は、力が強いために幼い頃から命を狙われます。だから、いつ命を落としてもいいように産まれた時に作られるアクセサリーに、自分の力を少しだけ入れておくんです」


 そう言って私は、首もとからネックレスを取り出して、ルーカス王子達に見せた。

 ネックレスには、真っ白い宝石が付いている。


「この宝石は、見たことがないな」

「でしょうね、これは月の姫が産まれた時に一緒に出来る宝石ですから。私達は、“月の欠片”と呼んでいます」

「月の欠片…確かに、月に似ているな」

「はい。月の姫は、この宝石を私のようにネックレスにしたり、ピアスにしたり、指輪にしたりして持ち歩くんです」


 そして、私はまたネックレスを元に戻した。


「とりあえず、毒のことは私も父に頼んで探ってもらってますから」

「スクリプト王にもか?」

「はい、一応依頼として受け取ってるので父は上司みたいな感じで、報告をしとかないといけませんから」

「そうか…分かった、こちらで何かわかったらお前に知らせる」

「では、私も何か分かったらルーカス王子に伝えますね」

「さ、話がまとまったのでしたら朝食を摂って下さいませ」


 そう言われ、私達随分話し込んでいたのだと気付き早々に食事を摂って、ルーカス王子は執務へ私は部屋へ戻り、父様に報告することにした。




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