表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/135

回想~ルーカス~2

 それから少しして、母上の誕生パーティーがあった。俺はパーティーにミリアを伴って行こうとしたが、パーティーの会場の扉の前でルディに止められた。

 そこに月の姫も加わったが、月の姫は別にいいと言っているのになぜかルディがそれを拒否した。


 結果、俺は月の姫をエスコートして会場に入り席も隣同士だった。不満ではあったが、父上も母上も安心したように笑っていたから、まぁ…いいだろう。


 誕生パーティーは何事もなく進んでいくが、最近全く勉強してなかったせいか、ほとんどの貴族の名前を忘れていた。そのたびに、月の姫に助けられたのは悔しかったが、しょうがない。

 そして、ミリアとミリアの父親のマーリン侯爵が挨拶にきた。


 その時、ミリアが俺が喉が渇いているだろうと気遣い持ってきた飲み物を差し出してきた。それを受け取ろうとした時、横から入って来た手に飲み物を奪われた。その手が来た方を見ると、あの女が飲んでいた。俺が怒ると、私も喉が渇いていて…などと言っていた。心の広いミリアとマーリン侯爵は許してくれたが、俺の怒りは収まらずしばらくしてパーティーがお開きになり、会場から出たところで月の姫を責めた。


 すると突然、そいつが前の方に倒れていった。とっさに俺は受け止めたが、月の姫の身体に異常なほどの熱があるのが分かった。

 俺はルディに医者を呼ぶように言って、この城にこいつの部屋はないから客間に運ぼうとそいつを横抱きにした。その時、こいつが何かしゃべっているのが分かり聞き直すと、大袈裟にするなと言われた。それが、こいつが倒れたことだと言うことは分かった。それを言った後、こいつは意識を手放したようで動かなくなった。


 それからこいつを客間に、あまり人目に触れないように客間に運びベッドに寝かせ、リーンとかいうやつに後の世話を任せてルディと共に部屋へ戻る。



「あいつの身体に出来たあの斑点は、なんの毒だ?」


 とりあえず、ルディなら毒について何か知ってるかと思い聞いてみた。ルディの母親は、伯爵の令嬢であったが薬草についてよく知っていて、こいつの屋敷にも色々な種類の薬草があるのを知っている。



「たぶん、北の方に生息するエモ草の毒かと思います」

「ミリアが持ってきた飲み物に入っていた、ということになるな」

「そのようですね。とりあえず、父にはアオ様が倒れたことを話しますが、よろしいですか?」

「あぁ…」

「それでは、俺は失礼します」

「待て」


 俺が呼び止めると、出ていこうとしていた足を止めてこちらに振り向いた。


「なんでしょう?」

「ここに連れてきてくれ、話を聞きたい」

「……アオ様についてなら、話は長くなりますから日を改めてもよろしいかと思いますが?」

「お前の父親が断って、日を改めるならそれでもいいが…。出来るだけ、早く…月の姫について知りたい」

「…分かりました」


 そういって出ていった。

 ルディは、幼い頃から一緒にいるがこんなに表情がないやつじゃ無かった。それが無くなったのは、ミリアと知り合い俺が勉強や剣の稽古をよくサボるようになってからだった。

 ルディは生真面目なやつだったから、そんな俺に愛想を尽かしたのかもしれない。


 それでも、俺が聞くことには真面目に返してくれるし、サポートもしてくれていた。それだけでも、感謝してるんだ。たとえ、そこの信頼関係が薄くても…。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ