依頼
「ようこそ、涼華、青」
涼華っていうのは私の母親のこと。
「ジョシュ~ただいま!」
ジョシュっていうのが私のお父さんで、このスクリプト王国の国王。
お母さんは、お父さんの2番目の妃。
で、ナタリー…あ、ナタリーヌのことです。
ナタリーのお母さん、ソフィーヌ様が王妃様になる。
残念なことに、お父さんには息子がいない。
もしこのまま居なかったら、私かナタリーが王位を継ぐことになる。
もしくは、私かナタリーの夫。
「アオ、やっと一緒に住めるわね」
「ナタリー!」
あー私の癒しの天使!
しばらく会わない内にまた綺麗になっちゃって!
「ナタリー、ますます綺麗になったね!」
「アオは…まだこっちに来たばかりだから髪の色が戻らないのね…」
「そう、だね…あと2~3週間はこのままかな?」
実は、私の髪色は本当は黒じゃない反対の真っ白なのだ。
それが、何故かあっちに行くと黒くなって、こっちにしばらく居ると元の白に戻る。
「本当に不思議だよね…」
「ま、これからはずっと白いままだからね」
「黒髪も綺麗だけど、アオの月みたいな白髪も綺麗だよね。まさに月の姫って感じ」
「まぁね」
私は月の女神の加護を、ナタリーは太陽の女神の加護を持っている。
だからこそ、私は月の姫、ナタリーは太陽の姫と言われている。
その昔、この国がまだ国になるまえ謎の病が人々を襲った。たくさんの人々が、病にかかり亡くなっていった。
それを見た太陽の女神は、治癒の力で人々を病から救いました。
ですが、病の根源が無くなったわけではないので太陽の女神は、月の女神に病の根源をなくして欲しいと頼みました。
月の女神は、快くそれに応え病を無くしました。
月の女神は、あらゆる毒を解毒できる力をもち、他者に傷を付けられてもすぐに治るのだ。
二人はこの地を治めました。
太陽の女神は、人々と共に生活をして、何にでも興味を示しいつでも笑顔で、明るく活動的でした。
一方、月の女神は昼間はあまり外にでず、読書をしているが、夜は祈りの間に行き人々の安らかな眠りと、人々の悲しみを癒していた。
月の女神の姿を見る人はいなかったが、それでも人々は月の女神の存在も忘れなかった。
太陽のような明るさで人々を導く太陽の女神。
月の光のように柔らかな光で人々を癒す月の女神。
この二人の女神は、スクリプト王国の初代国王と、その弟と結婚した。
だから、スクリプト王国の姫には太陽の女神もしくは、月の女神加護が付いて力を持って産まれてくるようになっている。
だからこそ、この国は周りの国からも一目置かれているのだ。
これが、この国の歴史。
「今、こちらに着いて疲れているだろうが少し話があるんだ」
「何ですか?」
「とりあえず、私の部屋へ。ソフィーヌとナタリーヌも来てくれ」
なんだろう…お父さんが苦しそうな顔をしてる。
ーーーーーーーーーーー
お父さんの執務室に着き、それぞれが席に着いた。
「実は、ジョイール王国から依頼があってな…」
「そんな大国から、何の依頼なんですか?」
ジョイール王国は、スクリプト王国の西側に位置していて、とても大きな国だ。
そして、依頼というのはたまに私やナタリーの力を使って、色々な仕事をしているのだ。
病を無くして欲しいとか、貴族の護衛とか…。
挙げたら切りがない。
今回もそんなものだと、思うんだけど…それにしては、お父さんが深刻な顔をしている。
「どうかしたの?」
「……アオ」
「うん?」
「嫁にいってくれないだろうか?」
「……嫁?」
「そう嫁」
「……」
「……」
「えーーーーーーーー!」
大変なことになりそうです。