満月の日に備えて
「月に捕らわれる?て、どういうこと?」
皆さんぽかーんとしてるな、これに関しては私も過去に起きたことしかしらないからな…。
“過去に見られた月の姫は、その日から眠りにつきそのまま亡くなったそうです”
「それを見た人は、どうなったんですか?」
“生きてはいましたが、ずっと心ここに在らずみたいな感じだったみたいですよ。だから、その日は絶対に私を見ないで下さいね”
私の言葉に、皆は頷いたり返事を返してくれたりしてくれた。
私が話した月の姫は、私のずっと前この国に月の姫と太陽の姫が誕生して何代目かの時の話らしい。
「ここのにいた霊を鎮めたのとどこが違うの?」
やっぱり気になるか…。ジミーさんとは年が同じだったかな?
“圧倒的に数が違いますね。満月の日はそれまでに亡くなった方全ての魂を鎮めるんです”
「それは、またアオ様が倒れたりはしないんですか?」
あ、リーンさんいつ来たんだろ?全然分からなかった。リーンさんは本当に優しい人だな…。
“それはないですよ。満月の日は鎮めた後、私の力は満月の力で元通りになりますから”
「それなら良かったです。また倒れられたら、と心配で…」
“すいません、心配ばかりかけて”
本当に申し訳ない…。今までも同じような感じで依頼をこなしてきたけど、この国の人みたいに月の姫について無知ではないから、それが当たり前のように思われていて、こうやって心配されるのは本当に久し振りだ。
“大丈夫ですよ、リーンさん”
「はい」
リーンさんにはあんまり心配かけないようにしないとな…。
「それでは当日は、周りを見張るだけでいいんですか?」
“それがありがたいですね”
「ではそれは、俺達に任せて頂けますか?」
“はい、お任せします。よろしくお願いします”
「護衛には、カイル達も含めて考えます。よろしいですか?」
ルディさんの言葉に、私は頷いた。ルディさんは最近よく私に、なんでも聞いてくるようになった。離宮の花瓶を動かすのでさえ、聞いてくる。
なんでだろう?
よく分からないけど、ルディさんの方から話しかけてくるのが多くなって、嬉しく思ってるからいいけどね。
“決まったら一応、私にも知らせてくれますか?”
「分かりました」
一応聞いてないと、何かあったら大変だしね。
満月の日は、私の力も強くなるけど同時に霊の力もいつもより強くなるから、鎮めた後とか襲ってくることがたまにあるからね。
それは、私の力に惹き付けられてだから最悪の場合は私が皆から離れればいいかな?
気を抜かずに頑張ろう。
私が心の中で、意気込んでいるとき…その場にいる人の中で、一人だけ真っ直ぐに私を見ていた人がいたなんて私は知らなかった。