回想3
マリアーヌおばあちゃんのところへ戻った私は、おばあちゃんに報告をした。
「確かに、あの辺りは兄妹で結婚したりするのがまだ残っているとは聞いていたけど…」
「そうなんだ…」
「それで自分の気持ちに気付くなんて、どれだけ鈍感なの?」
「だって…」
「だってではないの、周りの者達はすでに二人がいい感じだと思っているわよ」
「それは、そう見せようと…」
「そういうのは、二人の雰囲気で分かるものですよ。前に見たときから、二人はお似合いよ」
自覚すると、途端に恥ずかしくなってくる。顔に熱が集まってくるのを、何とか止めるために話題を違う方へ向ける。
「いいから、これからが勝負だよ!」
「アオに言われた通り、ルーカス王子達をここに招待したわ。必ずアイスプルフは、ティーリア王女の為にパーティーを開くはずよ」
「その時に、私はルーカス王子達と一緒に行くよ」
「分かったわ、あなたを私が飼っていた鳥だと紹介すればいいわね」
「うん、よろしく」
「それまでには、戻ってきなさいね」
もう少し調べに行くのは、もうおばあちゃんにはバレてるか…。
向こうの私も、また新しい情報を掴んでるだろうしね。
「行ってきます」
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アイスプルフに着いた私は、こちらの私の部屋へ向かった。
今は、一人みたい。最近は、誰かしらが側にいたりしてあんまり話せなかったんだよね。
窓のところに留まり、くちばしで窓をつつく。
「しばらくぶりだね」
(本当に、新しい情報入ってるよー)
それから今までに得た情報を、アイスプルフの私から聞いた。
ティーリア王女は亡くなっていて、その遺体は埋葬もされずにティーリア王女の部屋にそのままらしい。そして、おばあちゃんの予測通りティーリア王女の快気祝いとして、パーティーを開くらしい。そこで、ティーリア王女とヨルク王子の婚約も発表するらしい。
「大規模になるよね、このパーティー」
(アイスプルフの力を見せつけるためのパーティーだからね、私の力を見せて)
「じゃ、その前になんとかしないとね…」
(アイスプルフと敵対してる方には、アンドリューが接触してるみたいだよ)
「え、そうなの?」
(向こうの兵の大半が、傭兵らしくてアンドリューの騎士団の人達と知り合いみたいだよ)
「なるほどね」
傭兵達同士の団結は結構強いって聞いてるから、アンドリューに任せたら大丈夫かもね。
(あと2、3日経ったらマリアーヌおばあちゃんのところに、パーティーの招待状が届くと思う)
「分かった、ありがとう」
(どういたしまして、じゃ気を付けてね)
私に見送られ、私はまた闇夜に紛れてマリアーヌおばあちゃんのところへ戻った。
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それから数日経ち、ルーカス王子達がこちらに着いて、私はマリアーヌおばあちゃんからルーカス王子に渡された。
ルーカス王子達が、色々と私の為に動いてくれてるのを知って、とても嬉しかった。
そして、マリアーヌおばあちゃんのところからアイスプルフに着くまで、私はルーカス王子と共に行動した。たまに、アイスプルフにも行ったりして道中を過ごした。
アイスプルフに着き、パーティーまでの間私はルーカス王子用に用意された部屋にいた。
おばあちゃんが、ルーカス王子はいろいろと動かないといけないからと、配慮してくれたみたいだ。
「本当にお前は、アオと同じ色をしてるな」
色々と考えていたら、ルーカス王子が側に来てたのに気付かなかった。
「アオがもし記憶を失っていて、何もかも忘れてたらどうしたらいいと思う?俺は、たぶん耐えられないだろうなぁ」
ルーカス王子?
「ま、最初の俺の印象は最悪だろうがな。最近は、頼みごともしてくれるようになってたんだがな…。それもまた始めに戻るかな」
確かに、最近は何か行動を起こす時は必ずルーカス王子に言ったほうがいいかな?とか、考えるようになってたけど、それも無意識にルーカス王子を頼ってたんだな。
改めて、私の中でルーカス王子の存在がどれだけ大きいかを実感した。
「ま、お前に言っても仕方ないがな。何となく、アオと似てる気がしてな」
すまんな、と言って私から離れ執務机に戻っていった。
ルーカス王子は、朝早くから夜遅くまで仕事をしているようだった。王子としての仕事に加え、私の捜索でもアンドリューからの報告を見たり、ルディさんと話し込んだりしていた。
ルーカス王子がどれだけ私のことを心配し、大切にしてくれているかを実際に見て理解して、私の気持ちも自覚した。
自分の気持ちを自覚するまで、時間がかかってしまった分、ルーカス王子を待たせてしまっている。
だから、この事件が終わったらしっかり伝えよう。私の今の、素直な気持ちを。
あと2話ぐらいで、完結にしようと思います。