回想~自覚~
「それじゃ気を付けて」
「ありがとう、おばあちゃん。行ってきます」
身代わりの私が拐われたという知らせを聞いて、私は再びアイスプルフの城に向かった。
城に着くと、またあの三人が部屋に集まっていた。三人が囲むベッドには、私の身代わりが寝かされていた。
「おぉ!よくぞやってくれた、ヨルク」
「本当に、綺麗な子だわ」
そう言って、女の人はまるで宝物にでも触れるかのように、慎重に頬に触れていた。
「やっぱり拐ったのはあの人か…。なんか、気持ち悪かったもんね面談した時」
しばらくすると、三人共部屋を出ていった。その隙に、身代わりの私と話をする。
「大丈夫?」
(一応、リーンさんも眠らされたみたいだけど大丈夫だよ)
「それなら良かった。もう少し頑張って」
(あの王子、本当に気持ち悪いんだけど…)
「何かあった?」
(ここまで来る道中ずっと、愛してるやら俺には君しかいないやら…。もうずっと気持ち悪かったよ)
うわぁ…。それ嫌だなぁ…。
(それにずっと、体に触ってきてたし…)
「待って、妹の代わりに拐ったんじゃないの?」
(なんか、アイスプルフは力の強い子を産む為に力が強い人同士で結婚させてたみたい。兄妹だろうと関係なかったみたいね)
思わず身震いしてしまった。
ただ力が強い子供を産ませるためだけに、そんなことをしてるなんて…。
「あなたには苦労かけるわね」
(大丈夫よ、私が犯されたとしても貴女の貞操が守れるんだから、その為の身代わりよ)
「本当にありがとう…。ごめんね」
(……ヨルク王子が戻ってくるわ)
「ありがとう」
私が外に出て、身代わりの私が窓を閉めた直後に、ヨルク王子が入ってきた。
「やっと、俺のものにできる…」
ヨルク王子のその発言を聞いたあと、私はそこから離れた。
ヨルク王子に襲われる私を想像すると、恐怖で動けなくなりそうだったが、なぜか、ルーカス王子の顔が浮かんだ。
「ん?なんでだろ?」
今回の作戦も、ルーカス王子達が動かなければ私は助からない。でも、私はルーカス王子が必ず私を救出するために動いてくれると、確信していたのかもしれない。どうしてだろう…。
ドクン
「あれ?私…」
え、私…ルーカス王子が好きになってたの?
「えぇーーーーーーーー!」
夜空に私の絶叫が響き渡ったが、その声は夜空に吸い込まれていった。
アオが、気持ちを自覚するのに効果的なシチュエーションがもう少しあると思うのですが、私にはこれが精一杯です…。
まだまだ精進していきます。