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解決そして決意

「ルーカス王子!」


 マリアーヌおばあちゃんの指示で、アイスプルフの国王夫妻とヨルク王子が兵士によって連れていかれて行くなか、入れ替わりで入ってきた人がルーカス王子の元に走って来た。


「アンドリクス王子から、アイスプルフと敵対していた者達が撤退したとのことです」

「そうか、伝達ご苦労。こちらも片付いたと伝えてくれ」

「はい!失礼します!」


 その人は、また走って戻っていった。


「アンドリューにも何かしてもらってたの?」

「あぁ、向こうの戦力の大半が傭兵だと分かってな。こっちを片付ける間、足止めしてもらってたんだ」

「そうだったんだ…」

「アオは?あの物が盗まれる事件の時からか」

「正確には、犯人を特定する段階でおばあちゃんに手紙を出してから、かな?その返事の手紙に、忠告があったからね。おばあちゃんは、些細な事じゃ言ってくれないからね」


 そう言って、おばあちゃんを向くとおばあちゃんはまた、座って紅茶を飲んでいた。

 あんなに飲んで大丈夫かな?


「些細な事であれば、アオ自身で解決してもらわないと。将来、あなたは王位を継ぐんだから」

「そうですね、頑張ります」

「ルーカス王子、あの者達の処分はそちらに任せます」

「いいんですか?」

「私はただ、あなた達をこのパーティーに連れてきただけ、あとのことは全てあなた達が動いたことでしょう。最後まであなたがやりなさい」

「ありがとうございます」

「その代わり、甘い処分をしたら…。分かっていますね?」

「はい…」

「なら、よろしい」


 おばあちゃんは、満足したみたいで一人ティーパーティーを再開した。

 いつの間に、仲良くなったんだろう?


「アオからは何かないのか?」

「私は…」


 この事件の間、ずっと考えていたことを言った。

 すると、ルディさん達は驚いていたけどルーカス王子だけは“アオらしいな”と、笑っていた。

 ルーカス王子からは、なんとなく私らしいと言われそうだと思っていたし、事実、そう言われてとても嬉しかった。


ーーーーーーーーーーーーーーー



「これでいいな」

「ありがとうございます、私の願いを叶えてくれて」

「これぐらいは、願いでもなんでもない。死者を弔うのは当然だろ」


 私達の前には、お墓がある。そこに刻まれた名前は…。



“ティーリア・アイスプルフ”




 私がルーカス王子に願ったのは、ティーリア姫をちゃんと弔わせて欲しい、ということだった。

 私を拐ったきっかけだとしても、亡くなっている人にはどうすることもできないんだから。


「家族全員一緒には、入れてあげられないから…」

「そうだな…」


 アイスプルフ国王夫妻とその長男 ヨルク王子は、私を拐ったヨルク王子を止められなかったこと、スクリプト王国の月の姫である私をティーリア王女と偽ったことの罪は重く、近々処刑されることになった。

 罪人となる国王夫妻、ヨルク王子とはティーリア王女を同じお墓に入れてあげることは出来ない。だから、罪人達の墓があるところが見える少し小高い丘に、ティーリア王女のお墓を建てた。


「アオ様、ルーカス様そろそろ出発です」

「今行く。行くぞ、アオ」


 私達を呼びに来たルディさんに応え、ルーカス王子は私にも声をかける。

 ルーカス王子の後に続いて行こうとしたところで、ルーカス王子に言わないといけないことがあることを思い出した。


「ルーカス王子、あとでちょっと話があるんだけど」

「夕食の時でいいか?」

「うん。あ、人払いもお願い」

「深刻なことか?」

「まぁ、ね」

「分かった」


 ルーカス王子は、不思議そうにしてたけど私にしてみたら大事なことだしね。

 頑張ろ!


 新たな決意を胸に、私はルーカス王子の後に続いて帰路についた。






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