真相~アオ~
ここからアオに戻ります。
そして、久しぶりに予約投稿してみました。
「ルーカス王子?」
「本当に私ですよ!ちゃんと触れるじゃないですか」
「あ、あぁ…」
驚いてるな~ルーカス王子。ルディさん達も固まってるし、ちょっと面白いな。
「全く、焦らし過ぎよアオ。驚きすぎて頭が回らなくなってるじゃないの」
「仕方ないですよ、今回の作戦にはルーカス王子達の動きが凄く大切だったんですから」
「まぁ、そうね」
「お前!」
あらあら、アイスプルフの王子が気づいたみたいだね。
舞台から降りてきて、私達のところに来た。
「なぜだ!術はちゃんと成功したはずだ」
「いいえ、成功してはいませんよ」
「なんだと!」
「実際、私は記憶を無くしていませんしねぇ」
「アオ、お客様が困惑しているわ。自己紹介したらどう?」
マリアーヌおばあちゃんが、優雅に紅茶をおかわりして言ってくる。
確かに、周りの人達を見るとアイスプルフ国王夫妻に抱えられている私と、立って話をしている私を交互に見ながらどういうことなのか、と思っているだろう。
「申し訳ありません。パーティーの最中に失礼致します。初めまして、スクリプト王国のアオと言います。今回は、私の祖母であるマリアーヌ様とともに招待されてきました、以後お見知り置き下さいませ」
「スクリプト王国のアオ姫?」
「マリアーヌ様を祖母と言ったぞ!」
「あの娘は、噂の月の姫か!」
私の自己紹介で、だいたいの人が私の正体に気づいたみたいだね。
ヨルク王子はそのことに焦ったのか、表情が険しくなっていく。
「違う!お前は、アイスプルフの姫で俺の妹のティーリアだ!」
「いいえ、ヨルク王子…。ティーリア王女様は、亡くなったんですよ…」
「亡くなった?」
やっと、落ち着いてきたのかルーカス王子が質問してくる。
「アイスプルフのティーリア王女は、一年前のこの辺りで流行った病で亡くなったんだよ」
「確か、今回の内乱の根本的な原因はその病だとか…」
「そう、この辺りは流行り病が周りの国で流行しても力があったために、病になる者達がいなかった。でも今回に限って、アイスプルフでも流行してしまった」
「だから、国王達の力が疑われて今回の騒動が起こったのよ」
うまくまとめてくれたな~おばあちゃん。
そして、その亡くなったティーリア王女と同じくらいの力を持つ私に狙いを定めた。ちょうど結婚相手を探してたしね。
「マリアーヌおばあちゃんから忠告を受けて、ちょっとだけざわざわしたから調べたんだよね、そしたらここが内乱で大変なことになってるでしょ?で、その国の王子が来てて何もないわけがないしね」
「なるほどな…。じゃ、鳥に姿を変えていたのは?」
「一時的に姿を隠すことと、色々と情報集めるのもやりやすかったから」
色んなところに飛んで行けたしね。
「あんなに綺麗な鳥は、珍しいと思いますが…」
「リオンの言う通り、逆に目立つんじゃない?」
「あ、それはおばあちゃんに色を変えてもらったりしてたから大丈夫」
「あぁ!なるほど」
「どうして…」
ヨルク王子は、膝から崩れ落ちた。
そこに、アイスプルフ国王夫妻も駆け寄って来た。
おばあちゃんが、ゆっくりとそして王としての威厳を纏い三人の前に立った。
「私の可愛い孫を拐い、自分達の娘だと偽った罪は重い」
「はい…」
「自分達のやったこと、分かっていますね」
おばあちゃんの呼び掛けに、小さく頷く。