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再会~ルーカス~

更新がなかなかできず、すみません。

「あれ、どう見てもアオ様だよね!」

「まだこちらには、アオ様の容姿については広まっていませんからね…」


 そこにいたのは、見違えるはずもない…。アオだった。


 ベビーブルーのシンプルなドレスで、髪の毛を後頭部の高い位置で一つに束ねた姿のアオが、アイスプルフ現当主の男に手を引かれ現れた。


「まぁ、美しい娘さんね」

「髪の色が無くなっているけど、光を浴びて輝いているわ」

「ずっと表に出てこなかった理由が分かるな…。あんなに美しい娘なら、心配でたまらないだろうからな」


 ルディの言う通り、まだこちらにはスクリプト王国の月の姫のことは伝わっていないのだろう。


「あれは、記憶を無くしたアオ様に自分達が親だとでも言ったんでしょうか?」

「そうだろうな」

「どうしますか?」


 この場で、アオを連れていけば悪者になるのは俺達だ。アオに記憶があれば良かったが、それも可能性は低いだろう。


「もう少し様子を見ましょう。そう焦らなくても大丈夫よ」

「はい…」

「不安?」


 マリアーヌ様が、俺を見ながら言ってきた。

 不安が無いと言えば嘘になるが、それよりも…。


「アオを拐った奴に、今更ながら怒りが出てきますね…」

「あら、私もよ。さっさと取り戻したいけれど、今はまだだめよ」

「分かっています」


 マリアーヌ様は、満足そうに頷き飲み物を頼んでいた。

 今、一番怒りがあるのは幼い頃からアオを見ているアオの家族だ。その人達が、アオを取り戻すためにその感情を抑えている。他人である俺が、その人達の邪魔をしてはいけないんだ。



ーーーーーーーーーーーーーーー



 そして、時は流れパーティーがそろそろお開きになるかというところ…。


「皆様、今宵のパーティー楽しんでもらえましたでしょうか?そろそろパーティーをお開きにしたいと思いますが、その前に皆様にご報告があります」


 なんだ?

 すると、息子だろう若い男がアオをエスコートして、父親であるアイスプルフ国王の隣に立った。


「私の息子であるヨルクと、娘であるティーリアを婚約させることを、ここにご報告させて頂きます!」

「なっ!!」

「どういうこと!?」


 俺達は驚いているが、周りの客達はむしろ祝福の言葉を送っている。

 まさかと思い、マリアーヌ様を見るとゆっくりと紅茶を一口飲んだあと、ゆっくり話し出した。


「アイスプルフや、ここの周辺の地域では力が強い者があまり産まれなくなっていてね、それを危惧した貴族や王族達は、自分の家族内で結婚させ力の強い子を絶やさないようにしているの」

「なぜそれを早く言わないのですか!?」

「このままだと、アオ様は…」


 俺達が怒りに任せて怒鳴っても、マリアーヌ様は落ち着いた様子で紅茶を飲んでいる。


「大丈夫よ、もう準備が終わったみたいだから」

「準備?…」

「きゃーーー!」


 その時、アオ達がいるほうに近い客から悲鳴が上がった。

 何事か見れば、アオが倒れてその体はだんだんと光の粒となって消え始めている。


「ティーリア!なぜだ!」

「リア!リア!」


 アイスプルフの国王夫妻は、取り乱し泣き叫んでいる。その息子であるヨルクと呼ばれた男は、呆然と立っている。


「アオ様が!」

「マリアーヌ様、これは…」

「全く、最初にこの話を聞いた時は驚きました。でも、可愛い孫の頼みですからね」

「なんのお話ですか?」

「アオ、もういいのではなくて?」

「え?」


 マリアーヌ様の目線の先にいるのは、銀色の鳥だ…。

 その声に応えるように、銀色の鳥が俺達の前に飛んだ。すると、その姿が光に包まれる。

 その光から出てきたのは…。


「ふぅー…。やっともとの姿に戻ったー」


 この声は…。


「アオ、か?」

「はい、ルーカス王子」


 俺の手を包むように握って、笑顔のアオがそこに立っていた。






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