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道~ルーカス王子~

「ルーカス王子、アイスプルフ家について調べてきました」


 アオが拐われた翌日、寝ずに動いていたルディが部屋へ戻ってきた。


「どうだった?」

「どうやら、内紛が起こっているそうでどちらが真の王なのかと、現在の王家であるアイスプルフ家とその国で宰相をしていた家とで争っているそうです」

「アオには、何か関わりがあるか?」

「はい。アイスプルフ国は、他の国と同じで世襲制なのですが、魔力が強い者が優遇される国らしく…」

「現在の王家にはいないのか?」

「いえ、王家の第2子である王女が強い魔力持ちだとか。しかし、ここ数年は全く姿を表していません」

「病か…。それで、代役を立てなければ他の家になってしまうと。確かに、アオならばその条件でいくと、すぐにでも即位になるな」

「ですね…」


 魔力が強い者が優遇される…。なら、すでにアオはアイスプルフの城に監禁状態かもしれないな。

 それに…。


「アオ様は、断固拒否なさるでしょうね」

「通常のアオならな」

「それは…まさか!」

「何かしらの術で操られる可能性もある…」

「もう少し調べます」

「いや、その前にナタリーヌ姫のところへ行く」

「分かりました」


 俺達は、術や魔力について詳しい訳ではないだからこそ、詳しい人間に話を聞いておく必要がある。



ーーーーーーーーーーーーーーー



 ナタリーヌ姫への面会を希望すると、王妃様達と一緒にいるということだったが、王妃様達も面会の場に一緒に、ということだった。


「失礼します」

「こんな時にすみません」

「いいえ、ルーカス王子達がアオのために動いてくれているのは知っています」


 応えたのは、なんとなくアオに似ている女性だった。

 ナタリーヌ姫は、ソフィーヌ王妃様に抱きしめられていた。その肩は小刻みに震えている。ソフィーヌ王妃様も、目元が赤かった。

 と、いうことはさっき応えたのは、アオの実の母親…涼華様だ。


「涼華、よくそんな落ち着いてられるわね」

「一応、心配はしてるわよ。でも…」


 涼華様は、とても自信に溢れた表情で…。


「アオは、私の娘だもの。きっとうまくやるわ」

「全く、どこからくるのかしらその自信」

「私達が元気を無くして、病気にでもなってたらそれこそアオが悲しむわ」

「……信じてるんですね、アオのこと」

「もちろん、ルーカス王子も信じてるでしょ?アオのこと」

「……ちょっとやそっとのことでは、アオは屈したりしませんから」


 俺がそういうと、涼華様はとてもおかしそうに笑った。


「確かにね、私もそんなに柔な娘に育てた覚えもないしね」


 ……アオの母親だ。

 確実に血の繋がりを感じる発言のあと、表情を戻し改めて俺に向き直る。


「で、何か見つかったかしら?」

「え、そうなの?」


 それに、頭の回転が早いのもよく似ている。スクリプト国王もだが、スクリプト国王が慎重に動くのに対して、涼華様とアオはとりあえずやってみようと、すぐに行動に移すタイプだと思う。


「はい。アオの物を盗んでいたのはアイスプルフの者でしたね。そこで、その国を調べると今現在内紛中とのこと…」

「あそこの国は確か…。魔力の高い者が優遇される国だったはず」


 さすが、ソフィーヌ王妃様。他国の情報をよく把握している。


「それで、現在の王家で一番力の強い者がここ数年表に出ていません」

「アオを、その代わりに?」

「俺達はそう思っています」

「そう…。それで?」

「人を思い通りにさせる術があるのか、それを聞きたかったのです」

「ナタリー…」


 ソフィーヌ王妃様に促されると、ナタリーヌ姫はゆっくりと俺達の方を向いて座り、話し出した。


「そんな術はないわ…。あったとしても、その術と釣り合うだけの何かを犠牲にしなきゃいけないはずよ」

「そうか…」

「……もしかしたら、記憶をなくす術を使うかも」

「そんなのがあるのか?」

「えぇ…」

「それで、これからどうするの?」

「急に交流のなかった国の者が行けば、警戒されますね」

「そうね…」


 ルディのいう通り、急に訪問すれば怪しまれることは間違いない。

 俺達が、それぞれに考えているとひとりでに窓が空き、そこから金色の美しい鳥が部屋の中へ入り、ソフィーヌ王妃様の肩にとまった。


「あら、お母様から?」


 ソフィーヌ王妃様のお母様…。マリアーヌ様からの手紙のようだ。

 それを読んだ王妃様は…。


「道が開けましたよ」


 俺達を見て、美しい微笑みと共にそう言った。





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