解決のち…。
ルディさんに連れて来られたのは、ルーカス王子が滞在している部屋だった。
部屋には、ルーカス王子をはじめリオンさん、ジミーくん、リーンさんがいた。
「急にお願いしてごめんね。犯人が、必ず私の留守の時しか動かないから、私が表立って動くとあっちが動かなくなると思ったから」
「いや、いい。それに、アオが危惧した通り犯人は、お前が動くとたぶん動かなかっただろうからな、随分臆病そうな奴だったし」
「何か言ってた?」
ん?ルーカス王子の眉間にシワが深く刻まれ、それを誤魔化すようにルーカス王子は、眉間を揉んでいた。
代わりに答えてくれたのは、ジミーくんだった。
「なんか、アオ様のこと“運命の人だ”とか“僕の物だ”とか、そんな感じのことをずっと言ってたから、少し気絶してもらったよ」
「あぁ、なるほど…」
「妙に納得出来てしまうのが怖いですね…」
「何かあったのか?」
「何かあった、て訳じゃないけど…。面談した時…孤児院にいった日ね。その時の不気味さがね…」
言いながらリーンを見ると、リーンさんも思い出したのか、身震いしていた。
「今だから言いますがアオ様を見る目が、本当に気持ち悪かったんです」
「私も気持ち悪さは感じたよ」
「とりあえず、国王様が尋問するって言ってたから大丈夫だろ」
「私も行く!」
「いや、行かない方がいい。奴の術はやっかいだ、自分を透明にする他に触れている物も透明に出来るらしいからな、アオに会って何かあってからでは遅いからな」
「そっか、分かった」
本当に厄介な術だな、今は術とかを封じる牢に入れられてるんだろうけど…。
「アオ」
「ん?何?」
「昼食を一緒にどうだろうか?」
「この後は何もなかったですよね?」
「はい、特に予定はありません」
「じゃ、一回部屋に帰ってから来るね」
「分かった、それまでに準備しておく」
ルーカス王子の部屋からリーンさんと出た私は、アンドリュー達をそのままにしてたのを思い出し、部屋に帰る前に行くことにした。
「アンドリュー!」
「お?おぉ、アオ。解決したのか?」
「なんとかね、そっちは?ここはいい場所でしょ」
レックスさんと手合わせをしていたのを中断し、私達の方へ来てくれた。
「あぁ、ガタイがでかいのばっかりなんだが、ここだと存分に動けるな。本当にありがとな」
「いえいえ、場所があるなら使わないともったいないしね。それじゃ、私は行くね」
「あ、この後暇なら昼飯一緒にどうだ?」
「ごめんね、さっきルーカス王子達と食べるって約束したから。また今度ね」
「分かった、また誘う」
アンドリューの言葉に、手を振って答えて部屋へ帰り、支度をしてルーカス王子の部屋に戻った。
すでに、準備が整っていてルーカス王子も席に着いていた。
「遅かったな」
「ごめんね、一回アンドリューのところに行ってたから」
「そうか…」
なんか、元気がなくなった?
その後、一通り食事をして食後のお茶を飲んでいるとき、ルーカス王子から話を振ってきた。
「アンドリクス王子とは、仲良くなったんだな」
「アンドリューの騎士の人達が、体を動かしたくてしょうがないって言うから、場所を提供したの」
「それなら、俺達も要ってみたいな。ねぇ、リオン」
「あぁ、久しぶりにアオ様と手合わせがしたいな」
「じゃ、昼からでも行きますか?」
「いいのか?」
「私も久しぶりに、体を動かしたいし」
スクリプト王国に帰ってきてから、マナーの勉強やらで全然、外に出てなかったからね。
食後のお茶を飲んだ私達は、さっそく行くことにした。