縁談の申し込み者達5
次の日、今日からは本格的に縁談を進めていくことになる。
で、私は印象に残った人と一人ずつと話す時間をとってどの人がいいか、選んでいく。
「さっきの方は、やめた方がいい気がします…」
「リーンさん、それは私も思いました…」
さっき一人と会ってきたのだが、その人がなぜか私に凄く執着しているみたいで、教祖になったかのような感じだった。
まさか、会った瞬間にあんなに号泣されるとは思わなかった。
「よくあの人を選びましたね」
「パーティーで話した時はまだ普通だったよ?何でだろ?」
「人を知るには、時間がかかるものですからね。仕方ないのかもしれません」
「そうですね…」
「あら?ルーカス王子?」
リーンさんの声に、私もリーンさんが見ている方に目を向けると、ルーカス王子達がいた。
「おぉ、面談の帰りか?」
「えぇ、そうよ」
「……」
「何?」
ルーカス王子は何故か無言で、私をじっくり見てきた。
何か変なところあったかな?
「アオが着飾ってるのが珍しくてな」
「一応、お姫さまだしそれ相応の服を着てないと、ソフィー様に申し訳ないし」
「王妃様?」
「私のドレスを選んで下さってるの、お母さんだとこっちの流行とかが分からないから」
「なるほどな…。じゃあ、アオの母親のドレスも王妃様が?」
「まぁ、そうだね」
「曖昧な感じだな」
「お母さんが、結構頑固なのもあってドレスを決めるときは、言い合いになってるよ」
「それは、大丈夫なのか?」
「決まってしまうと、お互いに誉めあったりしてるからいいんじゃないかな?」
ルーカス王子達は、女って分からねぇみたいな顔をしてた。
ま、そうだよね。娘の私とナタリーでさえ、毎回止めるかどうするか迷って、最終的に言い合いなんて全くなかったかのようになるから、結構疲れるんだよね…。
「今からは何かあるのか?」
「今日は、しばらく行けてなかった孤児院に行こうかと」
「面談はもうないのか?」
「今日はもう一人面談しようと思ってたんだけど、都合が悪くなったらしくて」
「孤児院とは、アオ様が個人的に行っているんですか?」
ルディさんが言ってきた。
「最初はお母さんがやってたんです。お母さんがこっちに来たとき、病気が流行って親を亡くした子供が多くて、窃盗とかがなかなか減らなくて…。それを知ったお母さんが、孤児院を自分がもらったお金をほとんど使って幾つか建てて、子供達がちゃんと働けるように教育ができる人を派遣したりしたんだって」
「凄いな」
「アオ様のお母様も最強だね」
「今は、私がそれをやらせてもらってるの」
「そうなのか、じゃあ…」
「俺も行く」
「へ?」
私達からちょうど死角になるところから、アンドリューが出てきた。
いつからそこに?
「ちょうど通りかかったら話が聞こえてな、悪いな。で、俺も行っても大丈夫か?」
「それはいいけど、そっちは大丈夫なの?」
「国でも、城より外にいる方が多かったからな」
「それならいいよ」
「アオ、紹介してくれるか?」
ん?なんか機嫌悪くなった?縁談を申し込んだ者同士、自己紹介とかしなかったのかな?
「えっと、じゃあ…。こちらは、スフィーリア王国のアンドリクス王子。で、こちらはジョイール王国のルーカス王子です」
「あ……」
「アンドリクス王子、その先は言わなくても大丈夫です…」
「あぁ、そうか…。大変だったみたいだな」
「はい…」
なんだろ?ルーカス王子を紹介したら、アンドリューが何か思い出したみたいだったけど…。
何か噂でもあるのかな?
「孤児院、俺も行く」
「え?いいの?」
ルディさんを見ると、頷いていた。
「大丈夫です。特に予定はないので、私達も行きます」
「分かりました、じゃあ行きましょうか。馬でいいですか?あと、子供達にお菓子も持っていくので」
「分かりました」
私達は一旦解散して、それぞれ用意が出来たら門の前に集合することになった。