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離宮~ルディ~

 俺達は、月の姫を軽く見ていたんだな…。


「まさか、不気味過ぎて誰も近付かなかったこの屋敷を、こんなに変えちゃうとはね……」

「ほんとほんと、そしてめちゃくちゃ強いしな」


 父さんや、国王様達はそれを良く分かった上で月の姫に無礼ばかりする俺達を叱ったのか。

 俺達だって、月の姫にあんな力があるのならもう少し、対応だって変えていた。


「少し、月の姫に対する態度を変えないといけないな、王子にもちゃんと勉強するようにこちらで説得してみよう」

「お、やっぱり月の姫は味方に付けといた方がいいのか?」

「月の姫に関しては、あとで父さんにも話を聞く。月の姫に関して、俺達は知らないことの方が多い。だから、対応には気を付けろ」

「分かったよ」

「了解」


 となれば、城に戻らないとなまずあの色ボケ王子を説得しなければ。


「とりあえず、城に戻るぞあの霊のこともこの離宮のことも、陛下に報告しなければいけない」


 俺達は、カイル達に月の姫の部屋の前で一応見張っているように言って、城へ向かった。



ーーーーーーーーーー



「やはり、そうだったか…アオ様には何か礼をしなければならんな」


 さっき離宮で起こったことを陛下に話すと、そこまで驚くこともなく、まるで月の姫ならやるだろうと思っていたらしく、感謝をしていた。

 やはり、月の姫についてあまり知識がないのは俺達の代だけなのだろう。


「それで、この後少し宰相様と話をしたいのですが、よろしいでしょうか?」

「……月の姫について聞くのか?」

「はい、俺達はあまりに無知過ぎました。今回の霊と姫が戦っているとき、俺達は姫が作ったシールドの中で、見ているしかありませんでした」

「そうか、分かったいいだろう」

「ありがとうございます。では、失礼致します」


 陛下に一礼して、謁見の間を出た。

 その後出てきた父さんに連れられ、今は俺の父で宰相様の執務室にいる。


「さて、何を聞きたい?」

「月の姫の最近の依頼と、今の月の姫について」

「なるほど、では話そう」


 俺達は、父さんから聞かされた依頼内容に驚いた。今回のような、貴族や王族の教育係りから魔獣討伐など、様々だった。それを一人でしているというのだから、本当に驚いた。


「そして、今の月の姫について…だったな」

「はい」

「今の月の姫、アオ様は今までのどの月の姫よりも強く、また月の女神と瓜二つの容姿を持つ方だと言われている」

「そんなに、似てるのか?」

「あぁ、ちょっと待っていろ」


 そう言うと、父さんは部屋にある小さな書庫から一枚の絵を持ってきた。


「これが、月の女神だ」

「!!」

「これは…」

「月の姫だ!」

「そう、違うのは瞳の色だけだ。それまで、一度も白髪の月の姫はいなかったが、アオ様は本当に月の女神と瓜二つなのだ。私達も最初に見たときは、また月の女神が地上に降りてきたのかと思ったほどだったからな」


 月の女神は、白髪に黄金の瞳に対し月の姫は確か紫を薄くしたような色に近い色だったはずだ。


「それで、父さん達は驚いていたんだな」

「あぁ、くれぐれも対応には気を付けろ…と言っても遅いな」

「知っていたらもう少し対応を変えたさ」

「だが、心までは隠せんだろう?」

「どういう意味ですか?」


 少し含みのある父さんの言い方に少し、違和感を覚え聞いてみた。


「太陽の姫と月の姫は、心も読めるらしいからな」


 心まで読めるのか、まぁ俺達の本性はとっくにバレているから、今更取り繕うことはしないが。

 月の姫について、これだけ収穫があれば充分だ。


 俺達は父さんに礼を言って、予定通り王子の説得へ向かった。

 

 部屋へ行き中へ声をかけると、あのバカ女とよろしくやってたのか、王子は上半身裸で現れた。

 場所を、王子の執務室に移し俺達は説得を始めた。予想通り拒否してきたが、俺が“一国を束ねるならば必要なことです。それに、今よりもっと賢くなれば貴方の姫も、惚れ直すことでしょう”と言うと、あっさりと受け入れた。

 本当に単純すぎる、こいつがこのまま国王になればこの国は終わるな。


 なんとか説得して、また離宮へ戻った。時間はもう夕方だった。


 離宮へ行くと、月の姫の侍女としてこちらから付けたリーンが、あれから全く月の姫が起きないとオロオロしていた。

 俺は、きっと霊力を多く使ってしまったこととこれまでの疲れが出たのだろう、と言って宥めた。


 しかし、月の姫が起きたのはそれから一週間後だった。





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