お披露目!3
「やっぱり、あの方謹慎中だったのよ」
「月の姫様に何か言われてましたけど、月の姫様の忠告も聞かず、ここに来てしまったんですわ」
「月の姫様が女性の味方なのは、有名なことあの方は大変なことをしてしまったみたいですわね」
月の姫は、女性の味方。
これは、男の人に暴力や乱暴された女性を助ける施設などを多く作ったことで、そう言われるようになったみたい。
それに加えて、相手の男に何かしら罰を与えていたら、いつの間にかそうなってた感じかな?
「アオ、もしかしてユーリス様のこと知ってたの?」
「前に、辺境伯様の依頼で魔物討伐に加わった時に、話は聞いてたし実際に調べたらずいぶん女性に乱暴してたから、忠告してたんだけど。今回のことで、たぶん家からは出されると思うよ」
「そうだったんだ。なら、アオとは初対面じゃないよね?」
「その時は、黒髪黒目だったしフード被ってたし」
「あ、そうか」
「あの…」
私達のところに、若葉色のドレスを着たかわいらしい女性が、話しかけてきた。そばに他に二人女性がいる。
「さっきの方…。ユーリス様、ですよね」
「えぇ、そうですよ」
「私、ハンナといいます。実は、妹が……」
「全部は言わなくて大丈夫ですよ、辛かったですね」
「っ!はい…」
私は、ハンナさんの両手を握りながら言った。
ハンナさんの妹も、ユーリス様の被害者だったのだろう。
「私、あの子に何も出来なくて…。姉の私が、あの子を守れなくて…」
「妹さんも貴女を恨んではいないはずですよ」
「ナタリーの言う通り、きっと妹さんはこれからいい方に出会えるはずですよ」
「!!本当に?」
「本当ですよ、そのためには貴女が妹さんをまた外に出るように促さないといけません。頑張って下さいね」
「ありがとうございます!」
そう言って、ハンナさんとハンナさんと一緒に来ていた二人は去っていった。
「ユーリス様、これから大変だね」
「自業自得だよ」
それから、食べ物を食べたり話しかけてきた人の相手をしていたら、あっという間に時間が過ぎていき…。
「これで、アオにも縁談がいっぱい来そうだね」
「お父さんが大変だよね」
「アオ」
呼ばれた方を見ると、ルーカス王子達が来ていた。挨拶は終わったのかな?
「ダンスはまだだったろ?」
「うん、まだだよ」
「じゃ、俺と踊るか?」
「行ってきたら?アオ」
「う~ん、そうだね。行こうか」
ルーカス王子が差し出した手を握った。
「ナタリーヌ姫は、どうしますか?」
「私は、エリアス様としか踊らないと約束しているので止めておきます」
「分かりました」
「じゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい!」
ナタリー達に見送られて、私とルーカス王子はダンスフロアに行った。
久しぶりのダンスだったけど、ルーカス王子のリードのお陰かスムーズに踊れている。
「いろんな奴に声をかけられてたな」
「見てたの?」
「まぁな…」
「でも、今回は私がどんな感じか品定めしてるだけでしょ?」
「ま、帰ってからが大変そうだよな」
「さっきもそれを話してたの、忙しくなるな」
「あまり無理して体壊すなよ?」
「分かってる。あ、もうすぐ終わりだ」
音楽がもう終盤になっていた。以外に楽しかったな。最後の思い出がこのパーティーでよかった。
それから、国王様が終わりの挨拶をして私達も解散となった。
明日には、スクリプト王国に帰ることになっている。その前に、おばあちゃんにも挨拶をしとかないと。
こうして、私のジョイール王国での仕事は終わった。