最終対決!4
ナタリーとおばあちゃんが、ロランの居場所を特定してリオンさんがロランの元に行ってから一日たった。
朝食を食べていた時、リオンさんからの連絡がきた。それは、私とルーカス王子に報告があるということだった。
私は、その日の夜にでもリオンさんと会えるように手配をして、ルーカス王子にも伝えた。
「本当に、ここにリオンが来るのか?」
「来るよちゃんと、それもリオンさんに術をかけた時に一緒に入れておいたから、ほら」
私のその言葉を裏付けるように、床に綺麗な円形で突然文字が浮かび上がった。そして、しばらくしてその中央からリオンさんが出てきた。
「凄いですね、アオ様の力は。見てるだけじゃなく、体験をすると本当に凄いことなんだと実感します」
「そうですか?」
「はい!俺が一瞬目をつぶったら、次に目を開けるとここにいましたから」
「リオンがそこまで言うなら、俺も一度体験したいな…」
「ルーカス王子にも、いずれはしますよ。で、あちらの状況はどうですか?ミリア様は?」
そう聞くと、リオンさんは真剣な顔になり、ミリア様の今の状態を教えてくれた。
「ミリア様は、父親であるマーリン侯爵がロランに殺されたことを、知らなかったようで私が伝えると取り乱していました」
「ミリア様は、ロランとずっと行動を共にしていたと思っていたんですけど、違ったんですね」
「最初はどこに行くにも、一緒だったらしいんですが最近はロランが力をつけたこともあり、離れる時間も長くなったようです」
「そこまで話ができた、ということは…。ミリア様は、今は正常なんですね」
「はい、始めのころはアオ様への嫉妬心からか他のことは全く考えられなかったとか。とても悔やんでいました。ルーカス王子に刃を向けたことを」
リオンさんが、ルーカス王子をまっすぐ見つめながら言うと、ルーカス王子はなんとも言い難い表情で短く、そうか…。と言った。
とりあえず、ミリア様が正常な考えができるということは分かった。なら、ミリア様にもちょっとだけ手伝ってもらおう。
「リオンさん、ミリア様にこれを渡してください」
私は、あらかじめ書いておいた手紙をリオンさんに向けて出した。
「手紙、ですか?」
「その手紙には、これからミリア様にやってもらいたいことを書きました。ただし、やるかやらないかはミリア様次第ですけど」
できれば協力してほしいけど、私のことが嫌いで心底恨んでいるならしょうがない。やってもらわなくてもいい方法を見つけるだけだ。
「しっかりと渡します」
「よろしくお願いします」
また、文字が光り始めた。もうじきに、リオンさんはあちらに帰らなければいけない。
「時間のようですね、お二人とも体に気を付けて」
「リオンさんも」
「またな」
リオンさんの姿は、リオンさんが微かに微笑んでから消えていった。
「で、他にも何か隠してるな」
おっと、ルーカス王子だんだん勘が鋭くなってきてるみたいだな。
「実は、パレードの日時を変更しようと思って」
「そんなことできるのか?」
「ロランには、偽のパレードを襲撃してもらいましょう。それは、私がなんとかやりますよ」
「それじゃ、またアオの負担が大きいじゃないか!大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ、今回はナタリーもいるから」
「ナタリーヌ姫がいるからと、どうにかなるもんなのか?」
「月の姫の力は、この世界全てを無くすことができるほどの力です。それを、私のような小娘一人で抑えられるわけがないじゃないですか」
「じゃあ…」
「月の姫の力は、だいたいその大半を太陽の姫が抑えて、残りの力でやってるんですから」
「そうだったのか…」
「ロランには、パレード当日の幻影を見てもらって、最終的には守護精霊も出してくるでしょうからその対抗策で、ナタリーにうちの守護精霊も連れてきてもらいましょう。ナタリーの方に、ルディさんをつけてください。で、その時ルーカス王子とリオンさんには、戦って欲しいんです。リオンさんが私達を裏切ったとロランに思わせるために」
「分かった。リオンは、本気でやるだろうな」
「鍛練、付き合いますよ?」
「……頼んだ」
こうして、私達の作戦が決まった。
度々更新できない日があってすみません。
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