月の姫
「青、またね」
「うん」
私はそういって友達と分かれて、家へ向かう。
まぁ、もう会えないんだけどね…。
理由は、転校とかではなくて父親の国へ行くからだ。
旅行ってわけでもない、信じられないかもしれないし、痛い子だと思われるかもしれないが、私が行くのは……異世界だ。
だいたいの人は、ここで引くか私に大丈夫か?と聞くだろう。
私自身が、母親から言われた時。
母親に、大丈夫?、と聞いたぐらいだからだ。
それを聞かされたのは、私が小1の夏だった。
突然のカミングアウトから数日後には、学校が夏休みに入り母親にその異世界に連れて行かれた。
そこで見た私の父親は、まぁダンディーな方でしたよ。
まぁキラキラでしたよ。
私が父親だと認めたのは、瞳の色が同じだったからだ。
綺麗な藤色の瞳は父からの遺伝だったのか……。
今までは、瞳の色が変わる薬を飲んでいた。
髪の色は黒だったから変える必要はなかった。
もし、髪の色まで父親と一緒だったら金髪だ。
父親を紹介された後、王妃様と私と同じ年の王妃様の子も紹介された。
王妃様は、ハニーブロンドってやつで瞳は淡い水色。
私と同じ年の子は、日に透かすと白に近くなる金髪に桜色の瞳の天使だった。
まさにお姫様って感じ、名前はナタリーヌっていうらしい。
髪の毛のは私と同じで、ストレートロング。
満面の笑みで、私によろしくお願いしますと言ってきた。
もう、本当に天使だ。
あ、ちなみに私の父の国はスクリプト王国って名前で、緑もあるし、港もあるいたって普通の国だ。
無駄な争いもしてないし、穏やかに町の人達も暮らしてる。
とってもいい国だ。
それから毎年、夏休みと冬休みは異世界へ行くようになった。
ナタリーヌとも仲良くなって、一緒に国について勉強したりマナーのレッスンをしたりした。
それで、私は魔法が使えることが分かった。
しかも、めっちゃ強い。自分で言っちゃってるけど…。
それに、私には月の女神の、ナタリーヌには太陽の女神の加護が付いてるらしくて、毒を飲まされても、熱とかは出るけど死んだりはしないし、傷の治りが早い。
そして、18歳の誕生日の今日…私とお母さんはお父さんの国に行く。