第3話 冒険者ギルドに入ってみる。
第3話 冒険者ギルドに入ってみる。
街の大通り。
3階建ての、周囲に比べて大きな建物だ。
木製の看板がかけられ、大きく字が彫られている。
――冒険者ギルド。
「ん? そういや俺、この世界の字が読めるんだな?」
「どうしたの?」
建物の入り口で看板を見て独り言をした俺を、隣からリタが見上げてきた。
「あーいやなんでもない。こっちのこと」
「?」
小さく首を傾げ、エルフ耳をぴくぴくさせるリタは、ロリコンなら一撃で虜になってしまうほど可愛らしい。
ふっ、俺はロリコンでなくてよかったな!
俺がロリコンだったら成年向けでしか掲載できないことになってるとこだぜ!?
ともあれ、考えてみれば会話も支障なくできているわけで――
異世界転生の恩恵なのか、この世界の言語がもともと日本語であるのかはわからないが、なんにしても手間がないのはよいことだった。
「――うっし。じゃあ、いっちょ冒険者になりますか!」
俺は気合いを入れて冒険者ギルドの扉に手をかけた。
ふふふ、実はけっこうワクワクしているのだ。
――『冒険者』
俺の中で異世界に転生したらなってみたかった職業のかなり上位である。
自由っぽいところがいい。
依頼を受けて報酬を得るという、自分の力がそのまま成果に繋がるというのもいい。
そしてなにより!
素敵な女たちとの出会いがあるに違いない!
さらわれた王女様を助けるのだ!
ふふのふー。
これからはそんな楽しい冒険者ライフが俺を待って――
ん? なんだなんだ?
勢いよく扉を開けた俺の前に、予期せぬ光景が広がっていた。
広い部屋の中央にはカウンターが設置されている。
銀行の待合室を想像してもらえればわかりやすいだろう。
屈強で脳みそまで筋肉でできていそうな男たちがいた。
彼らは剣を抜き放ち、カウンターにいる職員ののど元へ突きつけていた。
まさかコイツらが冒険者……なわけないよな?
隣で浅くため息をつく音が聞こえた。
「……『冒険者ギルド強盗』ね」
なにそれ?