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第2話 幼女とイチャついてみる

第2話 幼女とイチャついてみる



「あ、金がない」


「お金がないの?」


「ああ。どうもそうみたいだ。どうしよう」


「そのわりには呑気そうね……」


 改めて衣服のポケットを探ってみたりして、気づいたことだった。


 当然といえば当然で、俺はこの世界のお金を持っていなかった。


 神様、気が利かないぜ。


 異世界での特典でお金を選ばなかったのだから、仕方ないのだが。


「わかっていると思うけれど」


「うん?」


「わたしに持ち合わせはないわよ」


「そうだろな」


「……わたしを売れば、いくらかのお金にはなるでしょうけれど」


「こら」


 つん、と俺は薄汚れた布の上から、幼女の胸の先っちょをつついてやった。


 変なことをいうやつにはお仕置きが必要だ。


 ただし、力加減は慎重にしなければならない。


 今の俺が本気を出してしまえば、人体に穴を開けることはたやすいのである。


 慎重に。


 真面目に。


 つついた。


「ひ――ひゃわーん!?」


 女の子らしい悲鳴を上がった。


 澄ました顔で自虐ネタを吐いていたリタの顔は熟れたトマトみたいに真っ赤になった。


 胸元を手で隠すようにして、キッと涙目で俺をにらみつけてくる。


 なーんだ。


 ちゃんとそんな顔もできるんじゃん?


「な、ななな、なにをするの!?」


「大丈夫です」


 安心させるように俺は微笑みかけた。言葉遣いも意識してやわらかく。


「俺、幼女の体に興奮はいたしません」


「だから!? っていうかわたし幼女じゃない……17歳」


「うんうん。わかってる。わかってる」


「……はぁ」


 ため息をつくリタは、いくぶんか表情が柔らかくなっていた。


 よしよし。


 仮にも俺のハーレム要員に暗い顔は似合わない。


 俺は満足した。


「で、お金のことだがな。アテはあるんだ」


「……アテ?」


 ほっそりとした眉をひそめて訝しむリタに、俺はニカッと笑いかけた。


「おう! 冒険者ギルドに連れてってくれ! あるんだろ?」


     ~


 リタの案内で、近くの街へと辿り着いた。


「ここが『はじまりの街』か!」


「そんな名前ではないわ」


 俺の背中でリタが言った。


 俺はリタをおんぶしている。


 幼女の足に合わせていたら街に着くまでに日が暮れてしまうからだ。


 しょうがないね、幼女だから。


「……もう、いいでしょ」


 街につくと、リタは俺の背中を押して、危なげなく地面に着地した。


 ふわり、と金の髪が遅れて肩に掛かる。


 リタの格好は、出会ったときのみすぼらしい姿からは、いくぶんかマシになっている。


 街に入る前に泉で体を洗ったからだった。


「ふむふむ」


「……なに?」


 まじまじと見ていると、リタはいぶかしそうに俺を見返してきた。


 俺は、エメラルドの瞳を見つめ返して。


「やっぱりおまえって、エルフの王女だったりする?」


 ぴく、とリタの肩がわずかに跳ねた。


 そんな反応を見せてしまったことが悔しいのか、唇をすぼめてジト目を向けてくる。


 ――この幼女、かわいくね?


「いまさらだけど、あなたって何者?」


「ふっ、俺か? 俺はハーレム王になる男だ!」


「冒険者ギルドはこっちよ」


 リタは通りの先へと歩き出した。


「…………」


 俺はやれやれと大げさに肩をすくめ、


(べ、べつにスルーされたからって傷ついてないもんね! むしろゾクッとしちゃって、それに驚いちゃっただけなんだからね!)、


 小さな背中についていった。

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