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未定
学園本校舎二階、二年生用教室前廊下。普段なら誰もいない時間であるが、今はその場所を歩く者が二人いる。
一人は、スーツ姿の女性だ。
彼女は、A組と表記された教室の前に止まり、扉を開け入室する。途端に教室内は静まりかえり、数名の者は急いで自席へ移る。
「皆さん、おはようございます」
入室から数秒で教壇に立ち挨拶をし終えた彼女は、このクラスの担任教師だ。
「今日から、このクラスに転校生が来ます」
彼女が告げた瞬間、あちこちで騒ぎ出す。
「皆さん、お静かに。―――黒姫さん、入ってきなさい」
生徒達を窘め、教室の外に顔を出す。外には彼女と共に廊下を歩いていた少女、黒姫と呼ばれた転校生が待っていた。
短い黒髪に、悪めの目付き。「可愛い」よりも「格好いい」が似合うボーイッシュな少女。
少女は無言で教室へ入り、目の前の生徒達に一礼すると、
「黒姫冷亜。……よろしく頼む」
それだけ言い、指定された席へと向かった。