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冒頭だけの物語

雷光の精霊術師 

作者: クサラ
掲載日:2015/01/13

あらすじの通りです。

人気が出たら連載するかも、なので感想とかもください。

 雷光の精霊術師

 


序章 


 7月29日 ???


[はぁ、はぁ、はぁ]


 自分の呼吸が妙に頭に響く。

 傷だらけな体が痛むのを尻目に、少年は足を前に踏み出す。幅10mはありそうな、大理石でできた古代の文明を思わせる回廊に少年の足跡が響く。回廊の横には広い空が見える。


 無限の蒼穹。澄み渡る深い青。そして眼下に広がる大地。


 少年がいるここは浮かんでいる。そう、さしずめ空中庭園と言うべきか。


「うっ。やっと……か」

『......そうですね。マスター。やっとです』


 少年が息も絶え絶えに発した言葉に、反応を返したのは彼の契約精霊である。

 その言葉の通り少年は回廊をわたり終え、扉の前にたどり着いたのだ。

 少年の姿は満身創痍ではあるが、その瞳は濁っていない。むしろ強い意志が感じられる。

 そう、諦めることはしない。今の少年には、できない。


 少し前の自分ならば、諦めていたかもしれない。だが、思い出したから。


 かつての彼の言葉を。小さい頃からずっと憧れで、強くて、そして優しかった彼の言葉が、自分を勇気づけてくれる。


「銀音......」


 少し前まで、照れ臭くて名字で呼んでいたため、ぎこちなかったが、それでも少女の名を口にする。小さい頃よく遊んで、中学校で再会した、幼馴染みである少女を思い浮かべる。


『仕方のないことなんだよ』

『それが私の生まれた意味だから』

『まだ、貴方には死んでほしくないの』


 泣きそうなのをこらえて、遠いところにいってしまった彼女。その彼女が今、手に届くところにいる。

 彼女を絶対に助ける。その為なら、いや、彼女の為なら、まだ戦える。


【マスター、少し休まないと危ないですよ』

 少年の半身である精霊が、傍らに。


『無理して全部抱え込むなよ、俺もいくぜ』

 何も文句を言わず、付いてきてくれる親友が、この空中庭園のどこかに。


『ま......そのなんだ。諦めるなよ』

 今はもう亡き尊敬する彼が、心の中に。


『それでも信じてる』

 そう、いってくれた彼女が。この扉の先に。


「すぐそこにいるから。すぐそこにいくから」

 少年は静かに決意する。


「さあ、あと少しだ」

 少年はそう自分に言い聞かせ、扉を開いた。
















 


一章 再び始まる



      1

6月15日(月) 7:50 富士学園地域 霊峰学園

   

 いつも通りの時間に登校した俺こと東条桐は、机に突っ伏した。

 体じゅうがパキパキ言う。絶対に昨日の出来事のせいである。衝撃的過ぎて、昨日の夜は、あまり眠れず、最近見ていなかった懐かしい夢を見たほどだった。


 昨日の出来事で精神的にも、肉体的にも結構疲れた。動くのが億劫であり、学園に来るのもつらかった。......主に引きずりまわられた時の、風圧による筋肉痛で。


 少し何時もより騒がしいクラスの空気に気がつくが、気にせずそのままながし、しばらくこのまま休んでいよう、と思い、俺は目を閉じた。


そのまま意識が沈んでいくのに任せようとしたところで、俺の耳元にここ数年で聞きなれた声が響いた。


「桐くん、どうかしたの?元気がないようだけど」

「うう、ちょっと昨日な......」


 意識が一気に覚醒した。その声の持ち主にそう声を掛けながら、体を起こし、目を開けると、銀色の絹糸のようにさらさらした髪の毛が目に入った。

............物理的に。


「痛ってえ!」

「あら、ごめんなさい。大丈夫?」

「いや、大丈夫だ。なんともない」


 その拍子に椅子が後ろに倒れた。目をゴシゴシとこすりつつ体を起こし椅子を元に戻す。


すると、俺に悪く思ったのか、その状態をつくり出した本人が口にてをあてて謝ってくる。だが、実際には驚いただけで痛みはそれほどないので心配はさほどいらない。


強いて言うなれば、筋肉痛の痛みが衝撃でぶり返しただけだ。


「本当に大丈夫? 桐くんは大丈夫じゃないのに意地はったりするから」


 うっ......言い返せない。かっこいいところ見せつけようとしたのは事実だ。だがここまで来てしまっては仕方がない。普通そうに、努めて普通そうに、「ああ」と返す。


「ふう、良かった。派手な音したから心配しちゃった」


 俺の言葉に心底安心したような顔を浮かべている、この少女の名前は、楼月〈ろうつき〉銀音〈ぎんね〉。銀色の髪と蒼色の瞳をもった、美少女である。その容姿から、学園内でも人気が高い。また、いかにも外国人に見えるが純粋な日本人である。本人曰く、「先祖帰りだと思う」だそうだ。


 そんな珍しくら目立つ銀音と、これと言った目立つところのない(強いて上げれば精霊工学が得意)俺が何故話しているかと言うと、ようはその幼馴染みと言うか、腐れ縁なのだ。


小さい頃、よく公園で遊んだ仲だったのだが、いつの間にか会わなくなり、中学で再会した。それから毎年クラス替えがあると言うのに、中学では3年間同じクラス。


 その上、高校に入り、もう同じクラスになることはないと思っていたら、入学式で驚いた。......また、同じクラスである。そして、銀音はことあるごとに俺に、おせっかいを焼いてくるので、銀音の容姿と、俺の事情のせいもあり、やっかみが酷いことになっているが、もう気にするのは諦めた。(ちなみにこのクラスは、俺と銀音とが、話していることになれたのか、そうでもない。ただ、時々すごい殺気が飛んでくることがある。)


 銀音は俺の、中学時代の3人の親友の内の一人である。一人は、別の学校に、一人は病院に入院しているので、ここ最近、毎日会うのは銀音だけである。


 そして、俺は銀音に恋をしている。そして、銀音も一年ほど前の出来事から、俺に好意を抱いてくれていることがわかっているのだが、俺は、ある負い目から、告白することが出来ない。


 そこまで考えて、ナイーブになったが、こちらをのぞきこんでくるような銀音の可愛らしい姿に少し見惚れてしまった(こればりは慣れても時たまドキッとさせられるので仕方ない)ところで銀音が口を開いた。


「そういえば桐くん」

「なんだ?」

「今日転校生が来るらしいよ」

「何? 本当か?」


 いきなりのことに驚き、聞き返してしまう。......転校生か。何か嫌な予感がするのは何故だろう。


「うん。珍しいよね。この時期の転校生」

「ああ、でもどうしてわかったんだ? 担任の植草先生はサプライズ好きだろ。あの先生なら隠しておくんじゃないか?」

「うん、それはね、先生の机の上にある、名簿に名前がのっていて......」


 そんな俺の不安を気にものともせず喋る銀音。情報漏れは、うちの担任の植草先生のイメージに合わなかったので、不思議に思い、そこを聞いてみるが、意外な事実が発覚した。爪が甘いよ、先生ェ。


「あと、昨日、裾野で強盗事件が起こったんだって。それを解決したの、私達と同じ高校1年生って話だよ。凄いよね。桐くん、何か知ってた?」

「あ......いや、初めて知ったぞ。......ハハハハハハハハ」


 嘘です。バリバリ当事者です。

 そんな心の声が、銀音にバレないように笑って誤魔化そうとする。あんなコトした、とバレたら、銀音に「また危ないことに首を突っ込んで!」と怒られるのがおちだからだ。それも小一時間程。


 だが、乾いた俺の笑いに、長い付き合いから何かあると気付いたのか、銀音が口を開こうとした............ところで授業の予鈴がなった。


 ふぅぅ、助かったぁ、と思ったのもつかの間、銀音が、


「あとでじっくり聞かせてもらうね」


 と、いい笑顔で言い放った。誰もが見惚れるであろうその笑顔が、いまの俺には恐怖の象徴にしか思えなかった。


 そして、そのチャイムが俺を波乱に満ちた日々に再び呼び寄せる、始まりの合図だとは夢にも思わなかった。










     2

 ガラガラという教室の扉を開いた音が、教室に響いた。


 担任の植草先生が入って来たのだ。

 彼は年齢が20台前半で教師になりたてだからか、サプライズが好きな性格である。


 何とも学生時代はスポーツに、打ち込んだそうで、俗に言う熱血教師である。ちなみに、何のスポーツに打ち込んだかは秘密だそうだ。

 色々突っ走ることもあるが、良い先生だ。


「さて、早速HRといきたい所だが......」

『転校生ですよね!』


 勿体ぶって前置きを言い、一息あけた先生にクラスの皆あわせて



『先生のデスクの上の出席名簿に見たことのない人物名が乗っていました!』



 再びクラスのほぼ全員の声が重なり、先生から漏れた声に答えを返す。


 沈黙する教室。


 その静寂を破ったのは、植草先生だった。

 先生は、自分のデスクとクラスの全員を交互に見て、それから、


「し、し、しっ」

『し?』

「しまったあああああああ!!」


 叫んだ。大声で。その声のせいで教室が震えた。いや、ジョークでも、誇張表現でもなく。

 これには思わず、先生の声に反応して問いを返したやつらも、俺も、普通に傍観していたやつらも、ドン引きせざるを得なかった。

 再び沈黙する教室。


「コホン」


 先生は、さすがに沈黙したクラスに気まずさを感じたのか、わざとらしい咳払いをした。


「さて、早速HRといきたい所だが、その前に転校生を紹介しようと思う。入ってきなさい」


 どうやら、先ほどの出来事をまるごとなかったことにするらしい。そんな先生に、俺を含めたクラスの皆は、こう思った。


『『ああ、このひと(植草先生)逃げたな......。』』


 と。


 だが、その思いは現実に声となることはなかった。何故なら、


「西園寺花凛です。皆さん、これからどうぞよろしくお願いします」


 その西園寺花凛となのる少女が美少女(昨日の疫病神)だったからだ。

 [うおおお! キタコレ!][すごい美少女。][銀音さんにも劣らないんじゃねえか?][きゃああああ。][化粧薦めがいがあるわあ。はぁはぁ。]

 クラスが一気に騒がしくなる。どれもこれも少女の用紙を褒め称えるものだ。......いや、約一名変な声が女子から聞こえたが。だが、俺は頭をかかえるしかなかった。何故なら、俺は知っている。


 西園寺花凛(こいつ)は、頭の中身が残念な(疫病神である)ことを!


「西園寺さんは病気のせいで小さい頃からからだが弱いため、病院で暮らしていたが、完治したので、学園長の意向でこの学園に来た。くれぐれも失礼のないように」


 植草先生の良く響く声で、クラスの皆の声がなりやんだ。


「西園寺さんの席はあちらです。それとも西園寺さん、なにか言いたいことあったらここで言ってください」

「それでは。皆さん、宜しくお願いします。......それと、そこのあなた、昼休み、屋上に来てください」


 ああ、今言われたやつ大変だなあ、と他人事のように思っていると、そこでなぜか、俺にクラスの皆の視線が向いていることに気がつき、俺は現実に引き戻された。これは、まさか、まさか、


「へ、俺?」


..........。


「そう、あなたです。」

「ええええええええええええええええええええっ!」


そこで、クラスから[アイツ、コロス][ギャアアアア! 銀音さんだけでなく、西園寺さんまで!][フザケルナああ][何が、何があったのか説明して! 桐くん! あと桐くんを殺すっていったひと誰? 許さないよ。][すいまっせんした。]と、訝しげな(殺気のこもった)声が上がる。......一人、上半身を直角に曲げて謝っているやつがいる。


 そして、銀音は授業が終わったら飛びかかってきそうだ。ああ、小一時間じゃあなくて二時間は見た方がいいかもな、と思った。色々大変だが、一つ、確実に言えることがある。


 やっぱり、コイツ(西園寺花凛)、疫病神だ。










       3

同日 12:30 屋上

 やっと、約束の時間となった。 

 昼休みである。

 あれから本当に大変だった。クラスの皆は詰め寄ってくるし、逃げても追いかけまわされるし。お陰で休み時間はずっと走っていた。......筋肉痛だと言うのに。


だが、不思議なことに、最初に詰め寄ってくる、と思っていた銀音が大人しかった。それが気になったが、説教されないなら良いか、と思い、放って置いてる。


「で、俺に何の用だ?」


 黙っていても仕方がないので、俺はそう切り出した。


「今日はいい天気ですね」

「......何が言いたい? それだけじゃないだろう?」


 意味が、分からなかった。

 俺には、ただのいたずらとは、考えにくかったので、そう質問した。


「......私は一人で、と言った筈ですが。後ろのひとをどうにかしてください。」

「へ?」


 一人? だから、一人じゃないか。なにいってるんだ?

 そう思っていたら、疑問はすぐに氷解した。


「うわわわわ」


 ドスン、と言う音が聞こえると同時に、重さを背中に感じ、よろけるが、立ち直る。


「桐〜〜酷いじゃねえかよう。こんな面白そうなことになってるのに俺に話え何てよう。」

「.....お前か。」


 俺に飛びかかってきた、金髪の男の名は、喜納該当。


 高校の面接で隣の席だったため、仲良くなった。その頃は、僕と言う一人称で黒髪だったのだが、所詮高校デビューと言うものをしたらしい。


 今は、如何にも不良ぜんとした成りだが根は優しい奴だと知っている。だが、時々、銀音と喋っていると、今のように飛びかかってくる。......殺す気か!? と思った事も一度や二度ではない。


「どうやらその反応を見るに故意ではないようですね」

「いつも、お前は。俺に。怪我させたいのか?」

「ああ。いつも、お前があんな可愛い銀音ちゃんと一緒にいるだけで、俺はお前が憎たらしいんだよ! それだけでもなのに、銀音ちゃんの事を考えようともしないなんて!!」

「前にも言ったろ。俺に銀音に告白する権利はない」

「何なんだよ。権利とか」

「......はは、私、置いていかれてませんか? あの〜〜」


 後ろで約一名なんか言ってる人物がいるが、流しておく。

 そうだ、俺は、俺には、権利なんてないんだ。精霊術も満足にできない俺じゃあ......。


 ああ、いけない。この事を考えると自分がいやになってくる。話題転換をしよう。今は飛びかかってきた理由だ。と言うか、コイツ、俺に怪我させたかったのか。


「何で飛びかかってきた?」

「あの〜〜」

「お前が、銀音ちゃんだけに飽きたらず、美少女転校生の西園寺さんにも呼び出されたと聞いたからだよ! 俺は、男の幼馴染みしかいないし、彼女だっていないと言うのに!」

「えぇ〜〜と、少し良いですか?」

「そんなの知ったことか!」


 どうやら、コイツは俺と西園寺(疫病神)との関係を勘違いしているようだ。見かけに寄らず純情だからな、コイツ。俺が言えたことじゃないが。

 誤解を解くために、「うぅ、酷いです」とシクシクしている西園寺を指差し、


「俺とコイツは何でもない。俺も何で呼び出されたか、わからないんだ」

「へ、そうなの?」

「そうだ」

「はは、そうか。桐っちに酷いことしちゃったなあ。ごめんな」

「ああ、別に気にしていない」


 弁明し、わかってもらえた。平和的に解決して良かった。


「本当にすまんかった。じーー」

「本当です。迷惑にも程と言うものがあります。反省してください」


 いきなり立ち上がって右手を前に出した西園寺。

 それだけで該当は、吹っ飛んだ。





「平和的じゃなかった!?」











      4


「邪魔物もいなくなったことですし、単刀直入に言いましょう。」

「イヤイヤ、邪魔者って酷いでしょう。」

「では、あれを邪魔者以外のなんと呼べば?」

「......。邪魔者でいきます!」


 あまりの言い草だと感じ、反論したら、納得せざるを得ない、答えが帰ってきた。「あんまりだろがああああああ」と言う叫び声が聞こえた気がするがもちろん気のせいだ。


「私が言いたいのは昨日のことです」

「昨日・・・」


 そういい、昨日のことを思い出す。












   5


6月14日(水) 14:30 静岡県裾野市


 6月に入りいよいよ夏ももう少しというこの時期。今年も例年通り梅雨らしく雨の日が続いていたが、今日は珍しくこれ以上ないという快晴であった。じめじめとした日が続いたためか、鬱憤晴らしのために外出して居る人が多い。


 特にこの裾野の街は、世界的に見ても大きいと言える富士大魔窟が近くに存在しているため、精霊術師育成高校の卒業者が多い。そして、精霊術師育成高校の卒業生や、魔窟目当てに訪れる探索者は、総じて活発なものである割合が高い。


つまり、今日は観光地や魔窟等に向かい、街から外出して居る人が多いと言うことだ。まあそんなこともあって、今日の裾野の街は人通りが少なく、道路も閑散としていた。


 そんな通りを駆け抜ける2つの影があった。

 先を走るのが、黒塗りの量産型モデルの車。


 一見普通のように見えるが、ナンバープレートが存在するべき場所にそれがない。代わりにそこにはナンバープレートを無理矢理引き剥がしたような跡があった。普通に走るぶんには、必要ないことなので、盗難車の可能性が高い。


 もう片方は、1組の男女。


 どちらも高校生位の年齢に見える。少女の方は、左手にブレスレットを、少年の方は、背中にバックパックを背負っていた。これだけ書くと普通だが可笑しいのは速度だった。


彼らは前を走る車と同等の速度で走っていた。いや、これは事実を的確に表していない。正確には少女が少年の右腕を左手で掴み、少年を引きずる形で、車を追いかけていた。あまりの速度の為、少年の足は先程から地面についていない。


 考えてみるとこれは異様な、いや異様では事足りない'異常'なことである。

 見てみるとまだまだ発展途上とは言え、男子高校生の体を同年代の少女が引っ張るなど。ましてや、そのハンデがありながら車と同じ速度で走るなど。



 なぜ、そんな物理法則に真正面から、喧嘩を売るような現象が起きているのかというとーー


(痛っってええええええ!! 少し速度下げてくれっ。って風圧のせいで喋れねえッ。体ちぎれる! なんでこんなことに。嗚呼、どれもこれもコイツのせいだ。これだから精霊術師はあああああああああああああ!! あ、自分もそうだった。)


ーー理由は、この一点につきるだろう。あわれなり少年。合掌。







 6月14日、未明。


 少年ーー東条桐はセットしておいた目覚まし時計の音が聞こえるや否や、布団から跳ね起きた。日曜日とのことで早く起きる必要はなかったのだが、今日は前々から計画していたことの準備をするため、出かけるのだ。


 そのため、急いで着替え、冷蔵庫から食材を引っ張り出し、キッチンで朝食を作り始める。


 今年から通い始めた精霊術師育成高校には専用の寮があり、そこでは学食があるため朝食を作らなくてもよいのだが、桐は入っていない。別に、寮に入っても良かったのだが、今は両親が海外出張中であり、小さい頃から面倒を見てくれた叔父も、数ヵ月前から、ちょっくら自分探しに行ってくる、とのことでいないので、自宅を無人にするのは危ないと思ったのだ。


 15分程で、朝食を作り終わり、テレビをつけ、食べ始める。


『ーーもあり、ここ最近は魔窟の魔物が活性化しているようですので、十分に注意してください。では、次は天気予報です。』


 丁度タイミング良くアナウンサーのニュースが終わった。魔物が活性化しつつあることは、ここ最近のニュースで知って居たので流し、今日の外出に関わるので、天気予報を聞きのがさないように集中して聞く。......裾野は、快晴のようだ。近頃、雨の日が多いので、雨が降っても強行軍でいくつもりであった桐なので朗報だった。


 朝食を食べ終わった桐はさっさと支度をし、自宅を後にした。

 住宅街を少し歩くと色々な建物が立ち並ぶ商業区の大通りへとたどり着いた。

 

(こう裾野が栄えたのって魔窟と精霊術師のおかげ何だよな。......あれ?)


 そこで桐は、やけに街を歩く精霊術師の数が少ないことに気がついた。精霊術師は、目に見えるところに白い羽のエムブレムをつけることが義務付けられている。ちなみに桐は学生のためこの義務は生じていない。


 また、それとは別に、精霊術師が主に利き腕とは逆の腕に着けている精霊接続機ーーエレメンタル·リンク·マシンの頭文字をとって一般にELMと呼ば れる精霊術師必須のアイテムーーを着けているかで判断すると言う方法もある。桐も袖口に隠して持っている。

 

つまり、何が言いたいかと言うと、そのエムブレムをつけている人、ELMを着けている者の人数が何時もより少なかったのだ。

ちなみに桐のように、ELMを懐などにいれて持つことは許されて居るので、ETMが見えないのは仕方がないかもしれないが、エムブレムをつけている人が明らかに少ない。


 今日は、久しぶりの快晴なので、いてもたってもいられなくなって、観光とか、魔窟に潜って居るのかな、と予想をつける。この近くに住む人は血気盛んな人が多いのでおそらく後者が事実であろう。


 そもそも、精霊とは太古より人間と共に過ごしてきた存在であり、精霊界と呼ばれる次元に暮らしている存在であり、自然そのもののエネルギーといってもいい生命体である。


 彼らは、普段、精霊界と呼ばれるもうひとつの世界で暮らしている。稀にそのなかで、精霊界に退屈を感じたものが刺激などを求め、世界の色々なところに存在する歪みから人間界にやって来るのだ。


 彼らは、普通の人には視ることが出来ないが、時々視ることができる人が現れる。そして彼らと、その人々は、互いが気に入った場合、契約をする。


 契約とは、己の魂と精霊を触れ合わせ、繋がりを作る事である。その為、魂が出来上がり、繋がりを作る余地がない大人は、契約をすることはできず、まだ魂が出来上がっていない子供だけしか契約ができない。


そして精霊と契約した人間は、普通では使えない力ーー精霊術を使えるようになる。その精霊術を行使する人間を精霊術師と呼ぶ。

 精霊術師は、契約した精霊に準じた属性の力を使えるようになる。

 と言うのが概要だ。

 その数が少なかった。

 なぜなんだろう。と思ったが、このときは気にも留めなかった。

 


 このことが原因で明日疫病神に取り付かれるとは露知らず。


ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

中途半端ですみませんでした。挫折したものなので。

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