表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

心霊写真のでき方

作者: アエン

バサバサという、鳥の羽ばたきに目を覚ます。

一瞬、自分の居る所を失念するが、緑の天井とそこから漏れる白い光線。そして茶色い、いや、こちらも緑の湿った床で、ようやく自分の居る所を思い出す。

いつから居たのかは忘れてしまった。

崖の下に横たわっていた体を起こし、森の中を見渡す。何の変哲もない、ただの森だ。

どうしてこんな所に?

思い出したのに、夢から覚める様に、忘れてしまった。


朝露に揺れる葉を踏み歩き、ふらふらと麓を目指す。

なぜ麓を目指す?

決まっている。下から来たからだ。

いつから物を食べて無いか分からないが、空腹感は無い。

そこらに生える怪しげな植物たちは食べたくなかったので、助かったとしか考えなかった。


しばらく進むと木の根に足を取られて転んだ。

しかし痛みは感じなかった。思わずついた手の皮もむけていない。

その事に驚くが、土だからだろうと納得した。



茂みの中に入ると、動物たちに出会った。

不思議なことに動物たちは逃げ出さなかった。

一瞬こちらを見上げ、なんでもない様に股の下をくぐっていく。

何度か驚かせてやろうと足を強く踏み鳴らしたが、平気な顔をしていた。

不思議だったが、それほどに自分が弱っているのだと思った。

動物たちに脅威を感じさせないほどに。

しかし納得は出来なかった。


出発してから何時間か経ち、歩いている内に、疲れが取れていった。体が軽くなっていくのだ。

おかしいとは思うが、体は健康なのだと苦しい理由をつけた。

納得などしようがない。


さらに歩き続けていると、突然、前方の木々が開けた。

やっと山を抜けたのだ。

嬉しくなり、駆け出す。

陽は傾いていた。

どれだけ彷徨った事か。

嬉しくて嬉しくて、体が羽毛の様に軽かった。

地に足がつかない気持ち。

いや、本当に浮いている?

足許を見る。

足が無かった。

しかし奇妙に納得もできた。

無理に理由をつけずとも、《それ》ならばすべての事に説明がつくからだ。

そんなことあるはず無いと、無理に考えない様にしていたが、理解をすると、気が楽になった。

解放感が、気持ちいい。

《それ》を理解した瞬間、俺はすべてから解放されたのだ。


しばらく解放感を味わったあと、ある考えが浮かんだ。

《それ》なら一つ、試してみたいことがある。

実行には、カメラを持った人間が必要だ。

ニヤリと、笑う。

この世で最後の悪戯だ。

《みんな》も、そう思ったんだろうな。


タイトルがネタばれです。      すみません。そのまますぎですね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 初めまして。読後、もしかしたらそう考える人もいるかもしれないなと思いました。  それで写り込むのかもしれませんね。その存在を認めるとですが……着目点が良かったと思います。それでは失礼致します…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ