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神聖世界・アルフォメガ

 いきなりだがこの世界について少し話をしようと思う。


 この世界を“地球”と同じように呼ぶならば、ここは



   『神聖世界・アルフォメガ』


 創世主たるアルフォメガ神を中心に、天空神・ペルシオン、地母神・グランディア、海洋神・リヴロヴェル、竜王神・シンタット、霊峰神・マーガドットらがそれぞれ六神柱として世界を支えている。


 神々は世界を支え、その世界の中に精霊たちを放った。

 精霊たちは神々の手となり足となり、目となり耳となって神々の世界を巡っている。

 世界を巡る精霊たちは神力を以て世界を満たし、あらゆる場所に根付いた。

 精霊たちが根付いた場所は世界の律動が安定し、そこに人や動物たちが根付いていく。

 そうしてそこに国が作られ、今に至るまで広く栄えた。

 その中でも特に栄華を極めたのが以下の三国である。


 豊穣の地・シルバニアンス王国

 大海の徒・アジメニータ連邦

 異種の集・イジャメドジーン帝国



「我が国、シルバニアンス王国の領土は地母神・グランディアの加護を強く受けているため、農作物の生産、発展が進んでいるのです」

 耳に心地いいフロルの声が一旦止まる。わたしの膝を枕にすやすやと眠るディーを見てフロルは苦笑を浮かべ、本を閉じた。

「さすがにつまんなかったかな?」

 やれやれ、とでも言いたげに呟いたフロルはそっとディーを抱き上げ部屋を出ていく。その背中を見送りながら先ほどまでフロルが朗読していた本へと視線を向けた。


『世界の創造と成り立ちの神話』


 そう題された本を手に取り開く。さっと目を通したところでフロルが戻ってきた。

「今日はもう終わりにしよう。さ、セラもおいで」

 優しく頭を撫でたフロルはわたしを抱き上げ、それとともに本を書架へと片付ける。そうしてやっとわたしは疑問を口にしたのだ。


「兄さま、院はどうしたんですか?」

 本来なら今ここにいるはずのないフロル。いくら卒業が決定しているからと言ってサボりはだめだろうとジト目をくれるとなぜかとろけるような甘い笑みを浮かべる兄。

「ああ、セラはどんな顔をしていても可愛いなあ。もうずっとその黒い瞳には兄さまだけを映しておいておくれ」

 デレ甘な表情で頬ずりしてくるフロルにうんざりしながらも答えを待つ。散々わたしを隅々まで撫でまわしたフロルはようやくやっと満足したのかにっこりとしながら口を開く。

「残りの必須課程他、全部終わらせたらもう来なくていいって言われたんだ」

 「だからこれからはずっと一緒だよぉ」と再度デレ甘な表情を浮かべる兄に、わたしは喜べばいいのか嘆いていいのかわからず微妙な表情を返した。



 この世界に時間や時計といった概念は薄いが、朝昼夕とそれぞれ点鐘がされる。わたしの感覚で言えば、朝六時に第一点鐘、正午に第二点鐘、夕方六時に第三点鐘といった具合だろうか。また、わたしの住むウォルスリーブ伯爵邸がある王都・バイアハは一年を通して温暖な気候にある。一月を三十日とし、三ヶ月毎に乾期と雨期を繰り返すといった感じだ。一応雪も降ることはあるらしいのだが、残念ながらわたしはまだ見たことがない。まあ降ったところで積もるほどではないらしいのでわたしの望む光景は見られないだろうが。

 ちなみに、一年は雨期と乾期をそれぞれ二回ずつで区切り十二ヶ月、三六〇日となり『週』という概念はないようだ。


 そして現在、第一雨期の始め月十日。つまりは四月十日。卒業式は新年祭と並行して行われる。新年祭は第一乾期の始め月一日。つまりは一月一日。



 兄よ。半年以上前倒しで卒業確定って…。

 しかも単位全部取ったから出席しなくてもいいって……。


 なにやってんスかアンタ。


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