まどろみの中で
ふわふわとした感覚の中でわたしは浮かんでいるらしいと気が付いた。
---ここはどこだろう?
---どうしてこんなところにいるのだろう?
---なぜ、浮かんでいるのだろう?
まぶたを下ろしたままの状態で、その裏にまで入り込んでくる真っ白な光に眼球の奥の方がチリチリと痛い。
地味な痛みをどうにかできないかと思ったが、どういうわけか手足がぴくりとも動かせなかった。
まさかの事態に一瞬、思考回路が停止する。
けれど次の瞬間にはひとつの可能性に思い至った。
---死んだ…のか?
まさか、と思う反面、そうかもしれない、と思ってしまった。
ふと穏やかな風を感じた気がして思考から意識を逸らすと、どうやら目の前に誰かがいるらしく(まあまぶたも持ち上げられなかったから見えはしないんだけどねっ)辺りに声が響く。
『ごめんなさい』
いきなりの謝罪に思わず首を傾げた。
(あ!首は動かせた!)
『ごめん。ごめんなさい。本当に…本当にごめん』
繰り返される謝罪に問いかける。
「誰に、何を謝ってるの?」
その問いかけに声は更に悲愴感を増す。
『ごめんなさい、ごめんなさい。 本当は違うのに、本当は違ったのに。ごめんなさい、ごめんなさい』
永遠に続きそうな謝罪の声は徐々にぼやけて曖昧になっていく。
それを遠くに聞きながら心の中で呟く。
---大丈夫、大丈夫だよ
---誰に謝ってるのかは知らないけど、きっと大丈夫
---大丈夫だから………
---そんな悲しい声で謝らないで